そもそも、今上天皇が2年前の8月に異例の「お気持ち表明」をしなければならなかったこと自体、宮内庁が皇室と政治権力とのバランスをとる機能を失っていたことの現われだろう。
「当時の風岡典之・長官は“お気持ち表明”を抑えられなかったことへの責任を政治の側から問われ、辞任に追い込まれたとされている」(皇室記者)
その後任が、秋篠宮の誕生日会見で大嘗祭の費用について、「聞く耳を持たない」と批判されるほど、官僚としての“本分”に徹し、「官邸の意向」に忠実な山本信一郎現長官だった。
変容していく組織をかつてのトップはどうみるのか。羽毛田元長官を訪ねたが、「私はその立場にはありませんから、何も申し上げることはございません」と言葉少なだった。
◆皇族の結婚にも関わる
秋篠宮は会見で、国民の関心が高い眞子内親王の結婚について問われると、婚約内定者の小室圭さんが「それ相応の対応をするべき」と語り、金銭問題を解決しない限り、結婚はさせない、という意向を示した。宮内庁OBは言う。
「皇族は発言の自由がありません。何か言えば、“政治的発言だ”と批判されてしまう。渡辺侍従長や川島侍従長が《オク》にいた頃は、不自由な皇族のために心を砕いていることが庁内に伝わってきました。
強い信頼関係があれば、皇族にも率直に意見を言える関係を築くことができる。しかし、今回の眞子内親王の婚約延期についても、宮内庁は“事なかれ”に終始していたように見える。《オク》を任せられた方々がもっと秋篠宮家とのコミュニケーションを密にしてお相手の情報を共有していたら違う状況になったかもしれないと悔やまれます」