細野:そういうことだね。しかも、そもそも料金だけでの比較だと、この事件の真相は見えてこないよね。だって、「品質」も合わせて考えないとダメだよね。
コロ:そうか。確かに「安くてもサービスが悪い」んだと意味がないからね。
細野:そういうことだね。例えば、ソフトバンクが最新の通信規格「LTE」でキチンと接続し、通信できるかを示す割合を調べたんだ。その結果、日本は98%と世界で最も接続率が高いことが分かって、アメリカだと90%、イギリスだと77%、フランスだと68%、ドイツだと66%という数字になっていたんだ。
コロ:へ~、日本の携帯電話の品質って、実は世界でトップクラスだったんだね。
細野:そうなんだよ。他の国では、都心部以外ではLTEで通信ができなかったり、地下鉄では圏外になったりするなど、通信品質に問題があったりもするんだ。
コロ:なるほどね~。そこまでサービスがいいのなら料金は今の世界の平均的な金額でも仕方ないのかな、という気もするけど。これから携帯電話の料金はどうなるのかな?
細野:携帯電話会社は、直接これだけ強く国から値下げを要求されていると、ある程度は国の意向に従わざるを得ない状況も出てくるんだよね。そこで、まずは最大手のNTTドコモが、今年の6月までに新料金プランで携帯電話の料金を2~4割も下げると発表して、1年で最大4000億円規模で自社のユーザーに還元していく、としているんだよ。
コロ:え、本当に携帯電話の料金が2~4割も安くなっていくんだ! それなら家計も助かっていいね!
細野:いや、必ずしも家計にプラスかは分からないんだよ。なぜなら、今回の値下げは、主に「分離プラン」が中心になりそうだからね。
コロ:えっ? 「分離プラン」って何のこと? 携帯電話の料金も複雑な気がして、イマイチ理解していないんだよね…。
細野:確かに、医療費と同じように、携帯電話の料金についても、あまり仕組みを理解しないで使っている人が多いよね。そこで、ここからは、ちょっとの知識で家計が変わる携帯電話の料金の見方について解説しようか。
◆あなたの家計診断
まず、あなたが使っている携帯電話は、本体の価格はいくらでしょうか? 恐らく、この時点で答えられない人が少なくないのではないでしょうか? 実は、それには理由があって、日本の携帯電話の普及は、少し特殊なモデルで発展してきたことがあるのです。
例えば、いまだに「携帯電話の本体の電話機はタダ」だと思っている人もいると思いますが、まさに日本の携帯電話会社は、携帯電話本体の料金を毎月の支払いに含めることで、「携帯電話本体の料金を実質タダ」ということにして顧客を増やしてきていたのです。