常盤貴子の美貌に衰えはないのだが(時事通信社)
【2】「専業主婦」の生活感は?
では、一方の「専業主婦」感はどうでしょうか?
蓮見杏子は自宅に戻っても髪一つ振り乱すことなくキレイなメイクのまま、優雅に調理。片付いた台所、リビング。お風呂に入りなさい、片付けなさい、と子どもを叱ったりイライラしたりしない。まるでモデルルームに住んでいるみたいで日常生活の雑然とした感じが物足りない。
もう一点気になるのは、夫・壮一郎役の唐沢寿明さんと「夫婦」に見えない点。夫婦というより仕事の仲間か同僚といった感じに近い。夫婦特有の近さやそれゆえの憎悪感、接触感があまり感じられないのです。もちろん、物語は夫の不倫が露呈するところから始まるため、「怒る妻」として距離をとっているのかもしれないけれど。
むしろ蓮見杏子は、女手一つで子どもを育ててきたシングルマザーの方がフィットしそうな気配です。
【3】配役は凄いけれど、どこか「既視感」が
吉田鋼太郎、滝籐賢一、唐沢寿明と、スケジュールを押さえるのも大変そうな今をときめく人気役者がズラリ揃っているゴージャスさ。3人の絡み合いなどまさしく企業ドラマや組織ものに特有の緊張感が漂いそうですが、その一方で流行の企業ドラマ的既視感も。
豪華な配役に安住することなく、独特なテイストや展開をいかに醸し出せるのか。水原希子さん、北村匠海さんあたり興味深い動きをしそう。今後の注目です。
あらためて今期の新ドラマを見回してみると、『スキャンダル専門弁護士 QUEEN』(フジテレビ系)や『イノセンス 冤罪弁護士』(日テレ系)とリーガルものが目立ちます。
『グッドワイフ』が他のドラマと違うのは「主婦である弁護士」が主人公である点。だとすれば、いかに蓮見杏子の個性を鮮やかに描き出すことができるかが、成否を分けるポイントになるでしょう。