芸能

常盤貴子『グッドワイフ』がどこか物足りない3つの理由

視聴者の期待は大きい(番組公式HPより)

 法廷を舞台にした作品は近年多いことから視聴者の見る目も肥えている。作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が今季注目の作品について分析した。

 * * *
 常盤貴子の持つ独特な雰囲気と魅力、この人にしかない芯の強さと匂い立つような上品さが好きです。『京都人の密かな愉しみ』(NHK BS 2015~17年)では着物姿の常盤さんに、うっとりと見とれてしまった視聴者も多いのではないでしょうか。

 それだけに新スタートのドラマに期待が膨らみます。常盤貴子主演『グッドワイフ』(TBS系日曜午後9時)は久々の民放連ドラ主役、しかもこの枠でいえば19年ぶりのTBS日曜劇場主演。ということで大注目。

 物語は……エリート検事・蓮見壮一郎(唐沢寿明)が収賄容疑で逮捕された。妻で元弁護士の蓮見杏子(常盤貴子)は、専業主婦の身から弁護士へと16年ぶりに劇的な復帰をすることに。

 そもそもアメリカで大ヒットしたドラマの日本版ですが、第1話(1月13日)を見て……正直、物足りなさとモヤモヤ感が残りました。いったいなぜなのか、理由を3つ挙げてみると──。

【1】「弁護士」「法廷」にアマチュア感が漂う

 法廷に立ったことがある人、少なくとも裁判を傍聴したことがある人ならわかるはず。ちょっと動いたり立ち上がったりしただけで裁判官にジロっと睨まれる、そんな「厳粛さ」が法廷にあることを。

 法廷は静けさが特徴的な空間です。もちろん、裁判官も感情にまかせてタメ口をきいたりしない。それもこれも「法律」という特別な権威によって、法廷という場を際立たせるため。罪を裁くために敢えて、日常生活と切り離した特別な空気が必要になる。

 弁護士という職業もそうです。法廷に立った時、素人のごとき緊張でオタオタしたりするなんてありえない、あってはならない。そんな態度なら最初から裁判に勝てないし、検察官や相手の弁護士に付けこまれるだけ。常磐さん演じる蓮見弁護士は、その意味で人物造形が物足りなかった。

 私自身がこれまで会った弁護士や取材した弁護士、知り合いの弁護士、どの人を思い浮かべても、弁護士には特徴的な「職業スタイル」というものを感じます。一言で表せば「感情に流れない」冷静さ。常に目の前の出来事・事象を、自身の感情や感じ方とは別の、もう一つの視点で検証している複眼的なスタイル。「このことは法律的にはどうなのか」という枠組みで、改めて捉え直そうとする職業的スタイルです。

 プライベートの時間はいざ知らず、仕事上でそうしたスタイルを身につけている職業人が「弁護士」だとすると……常磐さん演じる蓮見弁護士は物足りなくて、むしろ人間味・感情がある普通の人物に近い。そのスーツ姿は女性キャリア、大手企業の企画部課長といったあたりにフィットしそうです。

 しかし、このドラマではきっちりとした「弁護士」の人物造形が求められるはず。なぜなら「専業主婦」という日常と「切れ者弁護士」の対比を、一人の女性の中でみせる物語だからです。

関連記事

トピックス

どんな役柄でも見事に演じきることで定評がある芳根京子(2020年、映画『記憶屋』のイベント)
《ヘソ出し白Tで颯爽と》女優・芳根京子、乃木坂46のライブをお忍び鑑賞 ファンを虜にした「ライブ中の一幕」
NEWSポストセブン
相川七瀬と次男の凛生君
《芸能界めざす息子への思い》「努力しないなら応援しない」離婚告白の相川七瀬がジュノンボーイ挑戦の次男に明かした「仕事がなかった」冬の時代
NEWSポストセブン
俳優の松田翔太、妻でモデルの秋元梢(右/時事通信フォト)
《松田龍平、翔太兄弟夫婦がタイでバカンス目撃撮》秋元梢が甥っ子を優しく見守り…ファミリーが交流した「初のフォーショット」
NEWSポストセブン
世界が驚嘆した大番狂わせ(写真/AFLO)
ラグビー日本代表「ブライトンの奇跡」から10年 名将エディー・ジョーンズが語る世界を驚かせた偉業と現状「リーチマイケルたちが取り戻した“日本の誇り”を引き継いでいく」
週刊ポスト
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《即完売》佳子さま、着用した2750円イヤリングのメーカーが当日の「トータルコーディネート」に感激
NEWSポストセブン
国連大学50周年記念式典に出席された天皇皇后両陛下(2025年9月18日、撮影/JMPA)
《国連大学50周年記念式典》皇后雅子さまが見せられたマスタードイエローの“サステナブルファッション” 沖縄ご訪問や園遊会でお召しの一着をお選びに 
NEWSポストセブン
豪雨被害のため、M-1出場を断念した森智広市長 (左/時事通信フォト、右/読者提供)
《森智広市長 M-1出場断念の舞台裏》「商店街の道の下から水がゴボゴボと…」三重・四日市を襲った記録的豪雨で地下駐車場が水没、高級車ふくむ274台が被害
NEWSポストセブン
「決意のSNS投稿」をした滝川クリステル(時事通信フォト)
滝川クリステル「決意のSNS投稿」に見る“ファーストレディ”への準備 小泉進次郎氏の「誹謗中傷について規制を強化する考え」を後押しする覚悟か
週刊ポスト
アニメではカバオくんなど複数のキャラクターの声を担当する山寺宏一(写真提供/NHK)
【『あんぱん』最終回へ】「声優生活40年のご褒美」山寺宏一が“やなせ先生の恩師役”を演じて感じた、ジャムおじさんとして「新しい顔だよ」と言える喜び
週刊ポスト
林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
《部屋はエアコンなしで扇風機が5台》「仏壇のろうそくに火をつけようとして燃え広がった」林家ぺー&パー子夫妻が火災が起きた自宅で“質素な暮らし”
NEWSポストセブン
1年ほど前に、会社役員を務める元夫と離婚していたことを明かした
《ロックシンガー・相川七瀬 年上夫との離婚明かす》個人事務所役員の年上夫との別居生活1年「家族でいるために」昨夏に自ら離婚届を提出
NEWSポストセブン
“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト