芸能

博多華丸 たった3パターンの演技で「笑って泣かせる」凄さ

『めんたいぴりり』での演技が光る博多華丸

「初めて甲子園に出た高校球児の気持ちです」――。主演映画『めんたいぴりり』の初日舞台挨拶で語ったのは博多華丸。もともとはテレビ西日本で放送された連続ドラマだったが、映画として全国公開された気持ちをそう表現したのだ。この作品で華丸はどのような演技を見せたのか――。コラムニストのペリー荻野さんが綴る。

 * * *
 また泣かされた…これ五度目だよ…と思いながら、映画館を出ることになった。映画『めんたいぴりり』。終戦後、博多中洲に小さな食品店「ふくのや」を開いた夫婦(博多華丸と富田靖子)が苦労の末に明太子を作り出すまでの実話を基にした物語である。

 なぜ、五度目かといえば、一度目は、2013年、「福岡初!朝の連続ドラマ」として月曜日から木曜日に放送されたドラマ。福岡で朝ドラ? 放送時間が9時50分から? 主演が華丸!? と驚き三連発の中で見てみたら、これが笑って泣ける名作だった。その後、『めんたいぴりり2』のスペシャル版が放送されて二度目。

 さらに博多座で舞台版ができると聞いて、すぐさま福岡に飛んで三度目。DVDが出て、また観て四度目。そして今回の新作映画で五度目。すっかり『めんたいぴりり』マニア状態になってしまった。

 そんな中、私はすごいことに気が付いた。それは「役者華丸の演技は、3パターンのみで構成されている」ということである。

 たとえば、パターン1は「目をむく」。アイデアを思いついた時、ドキッとしたとき、うれしいときはこれ。パターン2は「歯を見せてニカッとする」とぼけるとき、ごまかすときに有効だ。パターン3は「口をとがらせてしょんぼりする」。悲しいとき、落ち込んだとき、言い訳が見つからないときは、これで決まり。

 華丸は、明太子が美味しいと言われれば、喜びに目をむき、妻のへそくりを使い込んだことがバレたときにはニカッとし、うまくいかなかったり、目標を見失いそうになると口をとがらせる。『めんたいぴりり』はこうしてできていたのである。たった3つに泣かされていたとは…と思うと、笑えるが、このわかりやすさこそ、華丸の味。そもそも思い込んだら一直線の「のぼせもん」を小器用に演じたら興ざめだ。むしろ、3つで役をこなしきったところがすごい。華丸に細かい演技は必要なし!!

関連記事

トピックス

(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
小説「ロリータ」からの引用か(Aでメイン、民主党資料より)
《女性たちの胸元、足、腰に書き込まれた文字の不気味…》10代少女らが被害を受けた闇深い人身売買事件で写真公開 米・心理学者が分析する“嫌悪される理由”とは
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン