ライフ

「受験ストレス」で親子の関係が壊れ始めた人へ

『「首尾一貫感覚」で心を強くする』著者の舟木彩乃氏


 Aさんは、受験に失敗して自信喪失しているところに、一番の理解者であり応援者であったはずの母親から、自分の存在を否定されるような言葉を投げつけられた。そして、この一言に大きなショックを受け、いわゆる「燃え尽き症候群」に陥ったという。

「目標に向けて献身的に努力したのに、期待した成果が得られなかった結果感じる徒労感や欲求不満などから、何もかもやる気が起きなくなってしまったのです。

 その後、Aさんはほかの高校へ入学したものの、学校にも家にも自分の居場所がないと感じるようになり、高校も休みがちになりました。Aさんは自分の居場所がないことについて、『自分は生きている価値のない人間』だから仕方ないと思い、むしろ居場所がないつらさは『まわりの期待に応えられなかった自分への罰』であるとさえ感じていました。

 一方の母親も、理性をなくしてAさんを責めてしまったことを激しく後悔していました。子どもとの向き合い方がわからなくなり、家事をするエネルギーや意欲がなくなってしまったのです」

◆問題は「自分自身」との向き合い方

 Aさん母子の抱えている表面的な問題は、受験失敗をきっかけとした燃え尽き症候群だが、この問題を根本的に解決するためには、そうなった原因を丁寧に掘り下げていくことが必要になるという。

「まず、Aさんのカウンセリングでは、Aさん自身が『その高校でなければならない理由はなんだったのか?』を掘り下げて考える必要がありました。子どもは誰でも母親に愛されたいと思います。Aさんは、その志望校に合格することで『お母さんを喜ばせたかった』『自慢の子どもになりたかった』そうです。Aさんにとっての志望校合格は、ある面で“母親に愛されるため、認めてもらうため”の行為だったのかもしれません」

 Aさんのように、子どもは「親に愛されたい」「気に入られたい」という思いから自分の本当の意思がわからなくなり、本来の自分の姿を見失っていくことがあるのだという。

「次に、母親のカウンセリングでは、ありのままのAさんではなく、“成績優秀な自慢の子ども”としてのAさんを愛していたのかもしれない、という告白がありました。そして『いつの間にか自分は、子どもの人生の中に自分を投影して生きていたのだろう』とも話していました。

関連記事

トピックス

海外セレブも愛用するアスレジャースタイル(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
「誰もが持っているものだから恥ずかしいとか思いません」日本の学生にも普及する“カタチが丸わかり”なアスレジャー オフィスでは? マナー講師が注意喚起「職種やTPOに合わせて」
NEWSポストセブン
政治資金の使途について藤田文武共同代表はどう答えるか(時事通信)
《政治資金で使われた赤坂キャバクラは新規60分4000円》維新・奥下議員が訪れたリーズナブルなキャバの店内は…? 「モダンな内装に個室もなく…」 コロナ5類引き下げ前のタイミング
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「旧統一教会から返金され30歳から毎月13万円を受け取り」「SNSの『お金配ります』投稿に応募…」山上徹也被告の“経済状況のリアル”【安倍元首相・銃撃事件公判】
NEWSポストセブン
神奈川県藤沢市宮原地区にモスクが建設されることが判明した(左の写真はサンプルです)
《イスラム教モスク建設で大騒動》荒れる神奈川県藤沢市 SNSでは「土葬もされる」と虚偽情報も拡散 市議会には多くの反対陳情が
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《バリ島でへそ出しトップスで若者と密着》お騒がせ金髪美女インフルエンサー(26)が現地警察に拘束されていた【海外メディアが一斉に報じる】
NEWSポストセブン
いまだ“会食ゼロ”だという
「働いて働いて…」を地で行く高市早苗首相、首相就任後の生活は“寝ない”“食べない”“電話出ない” 食事や睡眠を削って猛勉強、激ヤセぶりに周囲は心配
女性セブン
大谷が語った「遠征に行きたくない」の真意とは
《真美子さんとのリラックス空間》大谷翔平が「遠征に行きたくない」と語る“自宅の心地よさ”…外食はほとんどせず、自宅で節目に味わっていた「和の味覚」
NEWSポストセブン
逮捕された村上迦楼羅容疑者(時事通信フォト)
《闇バイト強盗事件・指示役の“素顔”》「不動産で儲かった」湾岸タワマンに住み、地下アイドルの推し活で浪費…“金髪巻き髪ギャル”に夢中
NEWSポストセブン
「武蔵陵墓地」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年12月3日、撮影/JMPA)
《曾祖父母へご報告》グレーのロングドレスで参拝された愛子さま クローバーリーフカラー&Aラインシルエットのジャケットでフェミニンさも
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
《約200枚の写真が一斉に》米・エプスタイン事件、未成年少女ら人身売買の“現場資料”を下院監視委員会が公開 「顧客リスト」開示に向けて前進か
NEWSポストセブン
指示役として逮捕された村上迦楼羅容疑者
「腹を蹴れ」「指を折れ」闇バイト主犯格逮捕で明るみに…首都圏18連続強盗事件の“恐怖の犯行実態”〈一回で儲かる仕事 あります〉TikTokフォロワー5万人の“20代主犯格”も
NEWSポストセブン
海外セレブの間では「アスレジャー
というファッションジャンルが流行(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
《広瀬すずのぴったりレギンスも話題に》「アスレジャー」ファッション 世界的に流行でも「不適切」「不快感」とネガティブな反応をする人たちの心理
NEWSポストセブン