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2019.02.05 16:00 週刊ポスト
【著者に訊け】森詠氏 警察小説『総監特命 彷徨う警官3』

森詠氏が『総監特命 彷徨う警官3』を語る
【著者に訊け】森詠氏/『総監特命 彷徨う警官3』(上・下)/各800円+税/KADOKAWA
森詠著『彷徨う警官』シリーズの主人公〈北郷〉が、蒲田署の強行犯係から警視庁捜査一課特命捜査対策室7係の係長代理に抜擢されたのは、東日本大震災から間もない2011年4月のこと。この、よく言えば孤高の精鋭、悪く言えば〈ゴンゾウ〉の吹き溜まりでは広域指定の未解決事案を専ら手がけ、シリーズ第3弾『総監特命』ではなんと、〈赤衛隊による東洋新聞襲撃事件〉を扱う。
1987年5月3日、東洋新聞横浜支局で記者2名が殺傷された同件を始め、一連の赤衛隊事件には既に時効が成立している。が、翌年に東京五輪開催を控える中、時の警視総監〈西田甫〉は〈テロに時効なし〉として7係に再捜査を命じたのだ。
むろん赤衛隊は赤報隊、東洋新聞横浜支局は朝日新聞阪神支局のもじりであり、森氏は赤報隊事件の真相に虚構を通じて迫ろうとする。それこそ1977年刊行の初著書『黒の機関』にはこうある。
〈この機を逃してしまえば、未来の歴史に対し、われわれもまた歴史を歪曲してきた共犯者になるのを覚悟せねばなるまい〉
「これは元々ジャーナリスト志望だった私の信条でもありますね。特に私の場合、ノンフィクションでは書けないことを書くために小説に転向した部分もありますし、たとえ娯楽小説であっても大人の鑑賞に堪えうる真実や批評性がなければ、かつての同志たちに顔向けできないといいますか。
例えば開高健さんや日野啓三さんは戦場ルポを書く一方で純文学も書きましたが、裏の取れない事実は一旦身体に取り込んで小説化するのも一つの伝え方だと教えられた。しかも私に時代小説を書けと勧めてくれた寺田博さん始め、よほどいいものを書かないと納得してくれない昔ながらの編集者が、あの世にもこの世にも大勢いらっしゃるので(笑い)丹念に書きました」
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