◆「日本国民にも感謝している」
元慰安婦たちの本心が伝わっていないのは、今回解散に追い込まれた「癒やし財団」も同様だ。癒やし財団の現金支給事業では、生存している元慰安婦47人のうち34人が支援金を受け取った。7割以上が受け取っている計算となる。
私の取材に応じてくれた元慰安婦のAさん(90代)はこう話す。
「日韓合意の話を聞いたときは、『ありがとうございます』という気持ちでした。10億円は日本国民の税金だから日本国民にも感謝しています。辛い人生だったけど、支援金も貰って少しだけ心が軽くなった。
でも、韓国政府や市民団体が反対して癒やし財団を潰そうとした。それは心が痛いこと。残金を国連に寄付するというのもおかしい。ハルモニ(元慰安婦)の血の代償をなぜ寄付するのか」
今回も元慰安婦や遺族に対して慰安婦を支援する市民団体は「お金を受け取るな」と圧力をかけたが、Aさんは意に介さないという。
「多くのハルモニは、市民団体の外にいます。だから多くの方がお金を受け取ったのです」
同じく支援金を受け取った、元慰安婦Bさんの家族にも話を聞いた。
「母は今回の癒やし財団から1億ウォンを受け取りましたが、高齢のため使い道がなかった。孫が対中ビジネスで負債を抱えていたので、そっくり孫にあげた。家族が助かり、支給金を受け取ったことを後悔していないし、感謝している」