週替わりのゲスト女優を迎えない形式のため、ここまで挙げませんでしたが、テレビ東京が今冬に放送している4つ目の深夜ドラマ『日本ボロ宿紀行』も「高品質」と評判。チーフ演出の藤井道人監督は、32歳にしてすでに多くの作品を手がけた注目の若手監督であり、今年も山田孝之さんが初のプロデューサー業に挑んだ映画『デイアンドナイト』で監督を務めました。やはり作品の内容も、スタッフ編成も、他局とは大きく異なるものがあるのです。
今回のコラムではゲスト俳優にフィーチャーしましたが、もちろん主要キャストも豪華。『フルーツ宅配便』の濱田岳さん、仲里依紗さん、徳永えりさん、松尾スズキさん、荒川良々さん、『デザイナー渋井直人の休日』の光石研さん、池松壮亮さん、『さすらい温泉 遠藤憲一さん』の遠藤憲一さんなど、プライムタイムの作品で主演を演じられる俳優がそろっています。これも前述した「クリエイティブ・ファースト」という理由が大きいでしょう。
私が各局のテレビマンや映画関係者と話していて驚かされるのは、「テレビ東京の深夜ドラマが好きでよく見ている」という人が多いこと。2010年代に入って以降、業界内では、「テレビ東京の深夜ドラマは面白い」という感覚が普通になり、それが視聴者にも浸透しつつあるのです。
春以降も、「質が高く演じがいがある」などの魅力があるテレビ東京の深夜ドラマに、どんな豪華俳優がゲスト出演するのか、注目してみてはいかがでしょうか。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本超のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。