まず、誰が考案するのかわからない。
今回の改元手続きは平成改元の時と同様に、1979年、「元号法」が制定された際に大平内閣が定めた「元号選定手続について」という手順書が踏襲されることになっている。手順書は、〈内閣総理大臣は、高い識見を有する者を選び、これらの者に次の元号とするのにふさわしい候補名の考案を委嘱する〉と定め、1人の考案者に「おおよそ2ないし5」の案を求めるとしている。
朝日新聞は今年2月27日付で「政府は4月1日の新元号の決定・公表に向け、事前に複数の学者に元号の考案を委嘱する方針を固めた」と報じた。これを読むと“今から考案して間に合うのか”と心配になる。
実際には、前述のように内閣府地下1階の部屋には、多くの非公式な案が保管されているといわれる。それなのに、なぜ、これから委嘱する手続きをとるのか。
「平成改元の時は、非公式案の中で最終案の『平成』『正化』『修文』の案を出したとされる3人の研究者が、改元当日に正式に考案を委嘱されたとみられています。今回も中国文学や東アジア史、日本の古典文学などの研究者で、文化勲章受章者や日本学士院会員など、その分野の大御所と呼ばれる方が考案を非公式に委嘱されていると見られていますが、最終候補以外の案は、公式記録には残されないでしょう」(鈴木氏)
つまり実際の流れとしては、官邸でどの元号案を選ぶかの最終候補が固まってから、それを考案した学者に「考案を委嘱」するという順序になるのである。
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