◆陛下の預貯金はわずか

 戦前の昭和天皇は、日本銀行などの金融機関のほか、鉄道会社、ホテルなど約30社の企業の株式や債券を保有していた。崩御の際、20億円の金融資産を残していたため、現陛下は約4億2400万円の相続税を納めている。

 株式や債券の運用は、内廷費を金融機関の専門家から助言を受けた宮内庁の内廷会計主管が管理運用し、不時に備えて預金したり、有価証券を買ったりしていた。生前退位で現陛下は、新天皇陛下に対しての資産相続はしないことになっている。そのため新天皇陛下は税金を支払うことはない。

 そもそも現陛下の金融資産はどのくらいあるのか。天皇家には私的費用に使用される「内廷費」が毎年3億2400万円支給されているが、さまざまな経費が支出されるため、多くを貯蓄に回すことはできない。現陛下の金融資産は少ないのではないか。

【PROFILE】神田秀一●1935年東京生まれ。テレビ朝日にて1978年から宮内庁担当記者。1995年に退社後、フリーの皇室ジャーナリストとして活動。著書に『心に響く皇室の所作』(辰巳出版)がある。

取材・構成■祓川学(フリーライター)

※SAPIO2019年4月号

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