プロ野球史に名を残す大打者たちは、表舞台を去った後も頭から離れなかった打撃理論を後進に伝えている。王は巨人、ダイエー・ソフトバンクで計19年間監督を務め、吉村禎章、小久保裕紀、松中信彦などの打者を育てた。落合も中日の監督生活8年間で和田一浩や森野将彦などに卓越した理論を伝授している。
イチローは引退会見で、「監督は絶対無理ですよ。これは絶対がつきますよ。人望がない。本当に。人望がないんですよ、僕。いやぁ無理ですね。それくらいの判断能力は備えているので」と口にした。
人望がないはずはないが、たとえ監督でなくても、プロであってもアマチュアであっても、ぜひともイチローの技術を野球界に伝承していってほしい。(文中敬称略)
●文/岡野誠:ライター・芸能研究家。研究分野は田原俊彦、松木安太郎、生島ヒロシ、プロ野球選手名鑑など。本人へのインタビューや関係者への取材、膨大な資料の緻密な読解を通して、田原俊彦という生き方を描いた著書『田原俊彦論 芸能界アイドル戦記1979-2018』(青弓社)が話題。