ところが、この“大ケガ”には疑問が複数あがった。千秋楽の中継で解説を務めた北の富士氏は、取組後の白鵬を見ながら、「(右上腕が)へこんでいないな。切れるとへこむんだけどな」と感想を漏らしていた。
一方、翌朝の会見で白鵬は、「(筋肉が)切れていると思う」と重傷を強調。にもかかわらず、「病院には行かない。3~4日は休んで考えたい」と説明したのだ。
ケガをした“瞬間”の話も奇妙だ。表彰式では「最後、投げに行った時」と答えていたが、一夜明けた会見では「(立ち合いの)最初の頃」と話が食い違う。前出・若手親方がいう。
「上腕二頭筋を痛めたのは事実だと思う。ただ、あまりに大袈裟。(何度も休場した)貴乃花や稀勢の里を意識してのもので、来場所以降に休む“布石”ではないか」
白鵬は「2020年東京五輪の開会式での土俵入りが悲願」と公言してきたが、最近は衰えが隠せない。「休場」と「優勝」を交互に繰り返すような状況だ。
「力士寿命を延ばすことだけを考えれば、休場を挟むのは有力な選択肢。ガチンコ全盛で、本場所の土俵は負傷リスクが大きい。白鵬には、千代の富士の持つ横綱としての最年長優勝記録(35歳5か月)の更新という目標もあり、“五輪土俵入り”の後の来年9月場所で優勝すれば塗り替えられる。東京五輪までのあと8場所、“どう休みながら乗り切るか”と考え出すのは自然なことだろう」(協会関係者)