別記事で解析したが、セ・リーグの順位予想では、古巣に対して甘くなる傾向があった(※各評論家の各リーグでの最も長い実働年数の球団を「古巣」と定義。たとえば、小山正明は阪神11年、東京・ロッテ9年、大洋1年のため、セは阪神、パはロッテを「古巣」とする)。
では、パ・リーグの順位予想では、この傾向はどうなるのだろうか。まず、今回の調査対象で、球団の消滅した近鉄出身の梨田昌孝を除いたパ1球団一筋の8人の古巣の順位予想を挙げてみよう。
【現役時代パ・リーグの1球団一筋の評論家の古巣の順位予想】
山田久志(阪急):オリックス2位/福本豊(阪急):オリックス4位/東尾修:西武2位/有藤通世:ロッテ3位/岩本勉:日本ハム2位/斉藤和巳:ソフトバンク1位/柴原洋:ソフトバンク1位/里崎智也:ロッテ5位
平均2.5位とやはり高い。この8人に加え、現役時代にセ・リーグを経験していない野村克也(南海→ロッテ→西武)と秋山幸二(西武→ダイエー)の2人、その他パ・リーグ経験者20人を足した計30人の古巣予想順位の平均は3.07位(梨田と同じく金村義明は古巣である近鉄が消滅しているため、この計算には含まない)。計64人のセ・リーグの2.63位と比べても、低くない。
入団から引退まで同一チームで終えた評論家はパ・リーグの8人(梨田除く)に対して、セ・リーグには35人。単純に考えれば、セ・リーグには古巣への思い入れの強い解説者が4倍以上もいる。評論家のパ1球団一筋の絶対数が少ない上に、パ経験者はセ経験者の半分以下になるため、順位予想にバラツキが出づらいのかもしれない。
とはいえ、その中でホークス出身以外の評論家も、有藤以外は全てソフトバンクを1位予想に。また、ホークスを「古巣」とする解説者6人の平均予想順位1.00位に対して、「古巣以外」69人でも1.14位。誤差は0.14しかない。セ・リーグ最小誤差である広島の0.71を大きく上回り、最大誤差である阪神の1.64とは約12倍の差がある。
古巣に対して主観の強くなる評論家たちも、ソフトバンクの優位は動かないと見ている。今年のパ・リーグは前評判通りホークスの優勝で終わるのか、それとも……。
●文/岡野誠:ライター・データ分析家・芸能研究家。研究分野は松木安太郎、生島ヒロシ、プロ野球選手名鑑など。著書に『田原俊彦論 芸能界アイドル戦記1979-2018』(青弓社)。