アップルの勝算
iPhoneが曲がり角に来ているアップルに勝算はあるのか? そのポイントは3つある。
まず1つ目は、iPhoneの製品寿命をどれだけ伸ばせるかだ。マクロ的にみれば、すでに飽和期に入ったスマホ市場で、これまでのiPhoneと同じ成長率を期待するのは現実的ではない。
ならば、とりあえず安いiPhoneを出そうと考えるものだ。しかしこの手は、所詮時間稼ぎにすぎない。利益率がアップルの半分以下のファーウェイなど中国スマホ企業に価格で対抗するのは限界がある。しかも、低価格路線はアップルブランドを毀損する危険性もある。
それでも万が一、安いiPhoneを売り出して延命を図り、時間を稼いだとしても、大事なことはその時間を何に使うのかだ。それが2つ目のポイントとなる。
稼いだ時間ですべきは「ポストiPhone」を立ち上げ、市場を創ることである。では、ポストiPhoneは何か? 著者の意見は「アップルウォッチ」だ。ハードウエア端末を生み出すことにアップルの強みはある。
アップルウォッチはフィットネスだけでなく、ヘルスケア分野への展開が期待できる。しかも、従来の若い世代だけでなく、高齢者層もユーザーになる可能性を秘めている。
そこで、アップルウォッチの「転倒検出機能」に注目したい。着用者が急に転倒し、1分間以上動かなくなった場合は、アップルウォッチが自動で緊急電話を発信し、緊急連絡先にメッセージを送ってくれる。この「転倒検出機能」は高齢者を持つ家族にとっては救いの神になるかもしれない。
だが、iPhoneに匹敵する売り上げをアップルウォッチが達成するにはまだまだ時間と苦労がかかるだろう。その間には壮絶な“辛抱”が必要だ。