──派閥を割ったときの気持ちは。
小沢 事ここに至ればもうしょうがない。そう割り切るしかありません。竹下さんが表に出てきちゃったのは、金丸さんが引退してから。金丸さんがいたら、ああはならなかった。あとは、安倍晋太郎さんが生きていれば話は違ったかもしれない。
──安倍晋太郎は別派閥(清和会)だが?
小沢:金丸さんが僕を幹事長にした時、党内で最初に賛成してくれたのは晋太郎さんでした。僕をかわいがってくれたという意味では、竹下さん以上かもしれません。僕が官房副長官の時、幹事長だった晋太郎さんには、何かあるとすぐ「小沢、来い」と幹事長室に呼ばれ、面倒を見てもらいました。だから、僕は(晋太郎の息子の)晋三君が憎らしいわけじゃない。総理としてどうしようもないから、いろいろ言うんだけど、今も晋三君の顔を見ると、親父さんを思い出して不思議な気分になるんだよね(笑い)。
──小沢グループが離党しなければ、自民党政権は続いていたと思うか。
小沢:今も続いてますよ。僕だって、本当に自分のことだけ考えるなら、ずっと自民党にいればこんな楽なことはなかった。だって事実上、経世会はみんな僕についてきてくれたから。
●聞手・レポート/武冨薫(ジャーナリスト)
※週刊ポスト2019年5月3・10日号