アルコールは事前に利用者の家族から同意を得られた場合のみ提供している。焼き鳥と枝豆をつまみに麦焼酎のグラスを傾けていたのは、82歳の藤島肇さん。
「普通の飲み屋だとついグイグイ飲んじゃうけど、ここだとお店の女性がペース配分に気を遣ってくれる。お酒を飲んでバカ話をしているほうが、体調がよくなる気がします」
日中はデイサービスで働く富澤さんも、スナックの仕事に手ごたえを感じている。
「昼間はボーッと眠そうにされていた方も、お店ではいきいきとした笑顔を見せてくださいます。スナックの気軽な雰囲気だからこそ、普段は言えない体調の悩みを打ち明けられることもあるんです。
スタッフが症状を聞いて専門医への受診を勧めた結果、早期治療に繋がった例もありました。このお店が介護にかかわる全ての人が語り合える社交場になれたら、と思っています」
なお、同店には様々な配慮がされており、誤嚥防止のためにドリンクには“とろみ”をつけたり、人気メニューのうどんは減塩仕様。休憩用のベッドもあるほか、ほろ酔いでも転ばないよう、離席時はスタッフが付き添ったりと至れり尽くせりだ。