芸能

樹木希林さん、浅田美代子主演作への演技指導にみる絆

私財を投じてまで浅田主演の映画を作ろうとしていた樹木さん

 樹木希林さん(享年75)が制作に関わっていた『エリカ38』の撮影がスタートしたのは昨年2月のことだった。同作は、被害総額27億円、被害者は男性ばかりで120人超ともいわれる“つなぎ融資事件”の山辺節子被告(2017年4月逮捕)をモデルにした作品だ。山辺被告はタイで逮捕された。

 低予算のため撮影スケジュールは2週間ほど。1日も休みはなく、朝から晩まで撮影が続いたという。4日間のタイでのロケも敢行。浅田美代子(63才)はタイで本物の護送車に乗る撮影も行った。

 樹木さんもタイトなスケジュールに対応していたが、その頃、彼女の体調はかなり悪化していたという。なお、同作は、樹木さんが、山辺被告のニュースを見た時に「美代ちゃん、こういう役をやったらいいのに」と言ったのがきっかけで誕生したという。樹木さんは、私財を投じてまで浅田主演の映画を作ろうとしていた。それほど2人の関係は深いものだった。

「当初は今年に入ってからの撮影予定だったのですが、希林さんの意向で1年間前倒しになった。きっとご自身の体調のことがわかっていたんでしょうね。食欲も落ちていて、ずいぶんやせていた。それでも浅田さんのためなのか、自分の出番がほとんどない時でも、撮影現場に来ていました」(映画関係者)

 浅田が62才の誕生日を迎えた昨年2月15日、映画撮影は佳境に入っていた。スタッフがケーキを用意すると、樹木さんは“あの娘は~♪”と浅田の往年のヒット曲『赤い風船』を歌い出したという。

「希林さんに“ほら、美代ちゃん。あなたも歌いなさい”と促されて、浅田さんも口ずさみ始めたんですが、浅田さんの目には涙が光っていたそうです。毎年、浅田さんの誕生日には一緒に食事に行ったり、温泉に行ったりしていました。どちらかが忙しくて会えない時には、希林さんが留守番電話に“Happy Birthday”を歌ってくれていたとか。希林さんの体がいつまでもつか、という時期だったので、47年も一緒に過ごしてきた浅田さんには、万感の思いがあったのでしょうね」(スポーツ紙記者)

 映画撮影中、樹木さんは浅田に対して、演技指導も熱心に行っていたという。

「監督を差し置いて指導するようなことは、希林さんは絶対にしません。だから2人きりになった時に、自分が思ったことを伝えていたようです。特に注意していたのは“話し方”。人はそれぞれ知らないうちに話し方にクセがついているので、演じる上では、それを変えていかなければいけない。

 話し方から“浅田美代子を消す”ことで初めて、見ている人は浅田美代子を忘れて映画に入り込めるのだ、と。“下手くそ”なんて言いながら、繰り返しアドバイスしていたそうです。希林さんは親心として、浅田さんに“演技力”という無形の財産を遺してあげたかったのでしょう」(別の映画関係者)

 浅田はその女優魂をしっかりと受け継いだ。5月22日から5夜連続で放送されたドラマ『白い巨塔』(テレビ朝日系)でも、病院の教授夫人会を“牛耳る”医学部部長の妻を演じた。

「いやらしく、ねちっこい女性を好演した。女優としてひと皮むけた印象で、今後は希林さんが演じていたような味のある“おばあさん”役もこなせるのではないでしょうか」(前出・スポーツ紙記者)

 樹木さんは天国で「下手くそね」なんて言いながら、浅田の熱演を微笑んで見守っているに違いない。

※女性セブン2019年6月6日号

関連記事

トピックス

ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
渡邊渚さん(撮影/藤本和典)
「私にとっての2025年の漢字は『出』です」 渡邊渚さんが綴る「新しい年にチャレンジしたこと」
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
実力もファンサービスも超一流
【密着グラフ】新大関・安青錦、冬巡業ではファンサービスも超一流「今は自分がやるべきことをしっかり集中してやりたい」史上最速横綱の偉業に向けて勝負の1年
週刊ポスト
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
12月30日『レコード大賞』が放送される(インスタグラムより)
《度重なる限界説》レコード大賞、「大みそか→30日」への放送日移動から20年間踏み留まっている本質的な理由 
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン