芸術的な演技で観客を魅了した(写真/アフロ)

 その話を聞いた羽生は、Toshlに「原キーで歌ってるんですね! ありがとうございます! 原キーをずっと聴いていて、それが体に染みついているから、うれしかったです」と汗だくの羽生が屈託のない笑みを浮かべると、Toshlも「羽生くんが頑張ってるから、ぼくも頑張っちゃった」と優しく笑い返した。

 翌日のリハ、羽生はToshlと真剣な表情で話し込んでいた。Toshlが描く楽曲の世界観が、自分の人生と重なるとして、こんな話をしていたのである。

「『マスカレイド』も『クリスタル・メモリーズ』も歌の内容、それを超えて生き様というものが、ぼくの人生と重なるものがある。言葉の一つひとつに同じ思いになるというより、Toshlさんの中に入って踊っています。

『マスカレイド』の最後、ぼくは仮面を脱いで氷に叩きつける演技をしていますが、それは『仮面を脱ぎ捨て、新たに生きていく覚悟』を表しているんです」

 2日目の公演直後に放送されたToshlのニコニコ生放送の番組で、Toshlがそう語っていた。

 一方のToshlは羽生に対してあるサプライズを用意していた。くまのプーさんが好きな羽生を驚かせようと、幕張公演の最終日、衣装の下に、プーさんTシャツを着込んでいたのである。

「前日の夜、Toshlさんは普通のプーさんTシャツじゃ寂しいからと、スワロフスキーを付けてキラッキラに自らデコレーションしたのです。その作業は朝方まで続いたそうです。公演前、羽生選手にそのTシャツを見せると、彼は大喜び。『キラキラしててかわいい』とスワロフスキーに触れたところ、接着剤の付きが甘かったのか、ポロポロとアイスリンクにこぼれてしまい、2人とも慌てていました(笑い)」(ショースタッフ)

 年齢も歩んできた道も異なる、2人の“表現者”の熱い思いが結実した夢のステージは、まだ始まったばかりだ。

※女性セブン2019年6月13日号

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