芸能

なぜ日本のグループ・サウンズはビートルズになれなかったか

大人気だったオックス(撮影/小学館『女性セブン』)

 1960年代後半から1970年代前半にかけ、グループ・サウンズ(GS)は一世を風靡した。元々は輸入文化であった“エレキ”の音楽、そして欧米のボーカル&インストゥルメンタル・グループの模倣から始まり、ビートルズ来日後には数々のグループがデビュー。「ジャッキー吉川とブルー・コメッツ」「ザ・スパイダース」「ザ・タイガース」「ザ・テンプターズ」……年3回開催された「日劇ウエスタン・カーニバル」はGSの祭典と化し、若者の心を鷲掴みにした。しかし社会現象とまでなったものの、GSブームは短命に終わる。あの熱狂と興奮は何だったのか。メディア文化論が専門でGSシングルレコードのパーフェクトコレクターでもある稲増龍夫・法政大学教授が綴る。

 * * *
 グループ・サウンズ(GS)は、1960年代半ばに、ベンチャーズらによるエレキブーム、ビートルズやローリング・ストーンズに代表されるロックブームに触発されて誕生した音楽ジャンルで、その出自は、紛れもなく洋楽のコピーであった。実際、初期のGSのレコードは各レコード会社の洋楽レーベルから発売されていた。

 しかし、時をおかずに熱狂的ブームが起き社会現象化するにつれ、従来の歌謡曲と融合し、独自の美学を持ったジャンルとして定着していった。1966、1967年頃のピーク時のレコード売り上げはビートルズを遥かに凌駕し、特に若い女性ファンたちの熱狂は現代のジャニーズファンと遜色なかった。

 それだけの盛り上がりを見せたGSであったが、そのブームは1970年を挟んで5年ほどしか持続せず、今では「時代の徒花」として、おじさんたちがカラオケで歌う「懐メロの定番」扱いである。流行とはしょせんはかないものと言ってしまえばそれまでだが、同時代のビートルズが、今や「20世紀を代表するポピュラー文化」として神格化されているのとは大違いである。

関連記事

トピックス

遠野なぎこ(Instagramより)
《愛するネコは無事発見》遠野なぎこが明かしていた「冷房嫌い」 夏でもヒートテックで「眠っている間に脱水症状」も 【遺体の身元確認中】
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
「佳子さまは大学院で学位取得」とブラジル大手通信社が“学歴デマ報道”  宮内庁は「全報道への対応は困難。訂正は求めていません」と回答
NEWSポストセブン
米田
「元祖二刀流」の米田哲也氏が大谷翔平の打撃を「乗っているよな」と評す 缶チューハイ万引き逮捕後初告白で「巨人に移籍していれば投手本塁打数は歴代1位だった」と語る
NEWSポストセブン
花田優一が語った福田典子アナへの“熱い愛”
《福田典子アナへの“熱い愛”を直撃》花田優一が語った新恋人との生活と再婚の可能性「お互いのリズムで足並みを揃えながら、寄り添って進んでいこうと思います」
週刊ポスト
麻辣湯を中心とした中国発の飲食チェーン『楊國福』で撮影された動画が物議を醸している(HP/Instagramより)
〈まさかスープに入れてないよね、、、〉人気の麻辣湯店『楊國福』で「厨房の床で牛骨叩き割り」動画が拡散、店舗オーナーが語った実情「当日、料理長がいなくて」
NEWSポストセブン
生成AIを用いた佳子さまの動画が拡散されている(時事通信フォト)
「佳子さまの水着姿」「佳子さまダンス」…拡散する生成AI“ディープフェイク”に宮内庁は「必要に応じて警察庁を始めとする関係省庁等と対応を行う」
NEWSポストセブン
まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
50歳で「アンパンマン」を描き始めたやなせたかし氏(時事通信フォト)
《巨大なアンパンマン経済圏》累計市場規模は約6.6兆円…! スパイダーマンやバットマンより稼ぎ出す背景に「ミュージアム」の存在
NEWSポストセブン
保護者を裏切った森山勇二容疑者
盗撮逮捕教師“リーダー格”森山勇二容疑者在籍の小学校は名古屋市内で有数の「性教育推進校」だった 外部の団体に委託して『思春期セミナー』を開催
週刊ポスト
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 万引き逮捕の350勝投手が独占懺悔告白ほか
「週刊ポスト」本日発売! 万引き逮捕の350勝投手が独占懺悔告白ほか
NEWSポストセブン