かつて焼け野原に明るさを感じたと書いた三木に、変化を恐れず、むしろ楽しむ東京人として、泉氏はシンパシーを覚えるという。

「『南の風……』にしても、戦後の虚無感を歌いながら、曲調はメジャーなんですよ。それを市ヶ谷の堀端に建てた自称〈トリ小屋〉で書き、30代でデビューした彼は、今回取材した方々にも酔ってくだを巻いたりする姿は一切見せなかったらしく、どこまでも上品で洒落てて、地を見せない、東京の音楽人だったんだと思います」

 洒落る。茶化す。笑いには必ず毒をまぶす。そんなポップで粋な人生の作法を、ぜひ令和にも引き継ぎたい。

【プロフィール】いずみ・あさと/1956年東京生まれ。慶應義塾中・高、同大商学部を卒業後、東京ニュース通信社入社。『週刊TVガイド』編集部等を経てコラムニストに。著書に『ナウのしくみ』『東京23区物語』『B級ニュース図鑑』『けっこう凄い人』『お天気おじさんへの道』『東京ふつうの喫茶店』『東京考現学図鑑』『大東京23区散歩』『僕とニュー・ミュージックの時代』等。来年は1964年に関する新刊を予定。「東京五輪本というより、その時代の個人的社会史です」。173cm、65kg、O型。

構成■橋本紀子 撮影■三島正

※週刊ポスト2019年6月28日号

冗談音楽の怪人・三木鶏郎 :ラジオとCMソングの戦後史 (新潮選書)

関連記事

トピックス

足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
大谷翔平の伝記絵本から水谷一平氏が消えた(写真/Aflo)
《大谷翔平の伝記絵本》水原一平容疑者の姿が消失、出版社は「協議のうえ修正」 大谷はトラブル再発防止のため“側近再編”を検討中
女性セブン
大河撮影前に2人で北海道旅行をしたという(時事通信フォト)
吉高由里子、セレブ恋人との結婚は『光る君へ』クランクアップ後か 交際は事務所公認、大河スタッフも“良い報告”を楽しみに
週刊ポスト
運送会社社長の大川さんを殺害した内田洋輔被告
【埼玉・会社社長メッタ刺し事件】「骨折していたのに何度も…」被害者の親友が語った29歳容疑者の事件後の“不可解な動き”
NEWSポストセブン
海外向けビジネスでは契約書とにらめっこの日々だという
フジ元アナ・秋元優里氏、竹林騒動から6年を経て再婚 現在はビジネス推進局で海外担当、お相手は総合商社の幹部クラス
女性セブン
二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ
《独立後相次ぐオファー》二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ 「終盤に出てくる重要な役」か
女性セブン
真剣交際していることがわかった斉藤ちはると姫野和樹(各写真は本人のインスタグラムより)
《匂わせインスタ連続投稿》テレ朝・斎藤ちはるアナ、“姫野和樹となら世間に知られてもいい”の真剣愛「彼のレクサス運転」「お揃いヴィトンのブレスレット」
NEWSポストセブン
破局した大倉忠義と広瀬アリス
《スクープ》広瀬アリスと大倉忠義が破局!2年交際も「仕事が順調すぎて」すれ違い、アリスはすでに引っ越し
女性セブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン