「僕自身のトリロー体験は1963年の『鉄人28号』の主題歌からですからね。それが大学の広告サークルに入った後に、♪ジンジン仁丹~とか、弘田三枝子の♪アスパラでやりぬこう~とか、無意識に歌ってきた音楽と作者が一致しました。最近は自分が生まれる前の昭和20年代くらいまで興味の幅が広がりつつあるんです。

 特にNHKのラジオしかない時代に時事風刺をやる娯楽番組があったことは、戦後史として見おとせない。現に『フラフラ節』であの吉田茂を散々おちょくった彼らは当局に睨まれ、『冗談音楽』は1952年に一度打ち切りになるのですが、すぐにタイトルを変えて復活するほど人気もあった。

 学生時代の永六輔や川上弘美さんのお父さまが熱心に番組を聞いてコントを投稿していた。また、トリローの元秘書は野坂昭如で、門下生には、伊藤アキラ、いずみたく、短期間ながら五木寛之もいる。役者としても中村メイコに楠トシエ、河井坊茶や三木のり平、有島一郎や左とん平まで、錚々たる人材を輩出しているのも、トリローグループのスゴイところなんです」

 復員早々、楽団を組んでキャンプを回り、ミッキーマウスと音楽用語のトリルから芸名を取った三木は、日本橋城東小学校から暁星学園、旧制浦和高から東京帝大法学部に進んだ秀才。弁護士の父は彼に16ミリカメラや楽器を買い与え、よく日本橋のフランス料理店にも連れ立ったと自著にある。その際、前菜共々堪能したクラシックの生演奏を彼は〈アスパラガスの音楽〉と名付け、生涯自らの音楽の原風景とするのである。

 泉氏は日本橋・村井銀行の地下にあったというその店を古地図に探し、現地を歩いた結果、それが東洋軒の支店であると特定。古い映画に偶然映り込んだビルのテナント名や新聞の縮刷版に載ったコラム記事から過去への推理を膨らませるなど、寄り道こそを強みにする歴史探偵ぶりが楽しい。

関連記事

トピックス

高石あかりを撮り下ろし&インタビュー
『ばけばけ』ヒロイン・高石あかり・撮り下ろし&インタビュー 「2人がどう結ばれ、『うらめしい。けど、すばらしい日々』を歩いていくのか。最後まで見守っていただけたら嬉しいです!」
週刊ポスト
結婚を発表した趣里と母親の伊藤蘭
《趣里と三山凌輝の子供にも言及》「アカチャンホンポに行きました…」伊藤蘭がディナーショーで明かした母娘の現在「私たち夫婦もよりしっかり」
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
《恐怖のマッサージルームと隠しカメラ》10代少女らが性的虐待にあった“悪魔の館”、寝室の天井に設置されていた小さなカメラ【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
2025年、第27回参議委員議員選挙で使用した日本維新の会のポスター(時事通信フォト)
《本当に許せません》維新議員の”国保逃れ”疑惑で「日本維新の会」に広がる怒りの声「身を切る改革って自分たちの身じゃなかったってこと」
NEWSポストセブン
防犯カメラが捉えた緊迫の一幕とは──
《浜松・ガールズバー店員2人刺殺》「『お父さん、すみません』と泣いて土下座して…」被害者・竹内朋香さんの夫が振り返る“両手ナイフ男”の凶行からの壮絶な半年間
NEWSポストセブン
寮内の暴力事案は裁判沙汰に
《広陵高校暴力問題》いまだ校長、前監督からの謝罪はなく被害生徒の父は「同じような事件の再発」を危惧 第三者委の調査はこれからで学校側は「個別の質問には対応しない」と回答
NEWSポストセブン
ドジャース・山本由伸投手(TikTokより)
《好みのタイプは年上モデル》ドジャース・山本由伸の多忙なオフに…Nikiとの関係は終了も現在も続く“友人関係”
NEWSポストセブン
齋藤元彦・兵庫県知事と、名誉毀損罪で起訴された「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志被告(時事通信フォト)
NHK党・立花孝志被告「相次ぐ刑事告訴」でもまだまだ“信奉者”がいるのはなぜ…? 「この世の闇を照らしてくれる」との声も
NEWSポストセブン
ライブ配信アプリ「ふわっち」のライバー・“最上あい”こと佐藤愛里さん(Xより)、高野健一容疑者の卒アル写真
《高田馬場・女性ライバー刺殺》「僕も殺されるんじゃないかと…」最上あいさんの元婚約者が死を乗り越え“山手線1周配信”…推し活で横行する「闇投げ銭」に警鐘
NEWSポストセブン
親子4人死亡の3日後、”5人目の遺体”が別のマンションで発見された
《中堅ゼネコン勤務の“27歳交際相手”は牛刀で刺殺》「赤い軽自動車で出かけていた」親子4人死亡事件の母親がみせていた“不可解な行動” 「長男と口元がそっくりの美人なお母さん」
NEWSポストセブン
トランプ大統領もエスプタイン元被告との過去に親交があった1人(民主党より)
《電マ、ナースセットなど用途不明のグッズの数々》数千枚の写真が公開…10代女性らが被害に遭った“悪魔の館”で発見された数々の物品【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《ハワイで白黒ペアルック》「大谷翔平さんですか?」に真美子さんは“余裕の対応”…ファンが投稿した「ファミリーの仲睦まじい姿」
NEWSポストセブン