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2019.06.22 16:00  週刊ポスト

【著者に訊け】泉麻人氏『冗談音楽の怪人・三木鶏郎』

「天皇の料理番・秋山徳蔵も料理長を務めた東洋軒の支店で、トリローは好物のアスパラやフルコースに舌鼓を打つ、お坊ちゃまだったわけです。明治の煙草王・村井吉兵衛が専売制導入後に銀行を創業し、東洋軒を誘致したことが彼を音楽の道に導くのも何かの因縁でしょう。陸軍の同期に東急の五島昇がいたり、人脈や地縁をあれこれ推理しながらトリローゆかりの町を歩くのも、散歩好きにはたまらないんです。

 トリロー売り出し中の頃に、上の世代の井伏鱒二や内田百間と鼎談して〈アプレゲール〉呼ばわりされるエピソードがあるのですが、そんな一件にふれながら、僕が80年代の頃に『新人類』として野坂昭如さんの対談に呼ばれていじられたことをふと思い出しました」

◆地を見せない東京の音楽人

『冗談音楽』から生まれたヒット曲「僕は特急の機関士で」や、♪キリンレモン、♪クシャミ三回ルル三錠といったCM。ディズニー作品の日本語版や『トムとジェリー』の主題歌も手がけた三木の仕事はそのまま、現代に繋がっているという。

「僕が子供の頃好きだったクレージーキャッツのコント番組なんかもトリローのラジオ番組の構成が原点なんじゃないかな。コミックソングも含めて、そういう日本流ポップの源流を知る面白さもあった。

 ソフトばかりでなく、ハードな機械にも明るいトリローは、東京通信工業時代のソニー・盛田昭夫&井深大コンビと『下町ロケット』的なノリで意気投合したり、小林一三に目をかけられて宝塚のショー演出を任されそうになったり、人脈の幅も広い。晩年は糖尿病もあってハワイの別荘で悠々自適に暮らし、かと思うとその闘病生活自体を趣味にしてみたり、一言で言えば掴みどころがない人ですね」

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