気になるのは、”普通の女の子”であるはずの彼女たちがホスト遊びのための高額な資金をどこで調達しているのかということ。

 歌舞伎町のホストクラブに通いつめて10年になるというある女性客は「ギャラ飲みです」と語る。

「1時間1万円などの”ギャラ”をもらい、社長などお金持ちの男の人たちとお酒を飲むこと。いわゆる“パパ活”です。かって流行った援助交際とは違い、女の子たちはただ飲むだけ。体の関係は一切ありません。モデルやレースクイーンなど芸能人よりも、有名大学に通う、若くて少し綺麗な一般人の子のほうが人気で、より多く稼げるんです」

“ギャラ飲み女子”は報酬のほかにも、高級ブランドのアクセサリーや鞄をもらったり、無料で高級レストランや海外旅行に同行したりするなど、破格の待遇をうけるという。

「だから、衣食住やレジャーにもお金がかからなくなって、もらったギャラは手元に残ります。贅沢を知ってしまうと、同年代の男の子たちと遊んでも物足りず全然楽しくない。だから、格段にかっこよかったり楽しませてくれたりするホストたちがいるホストクラブに行くようになる」(前出・女性客)

 しかし、”ギャラ飲み女子”にも卒業のときが訪れる。

「ほとんどの女の子は数年たっただけで次第に誘いがかからなくなり、自然と“卒業”のときを迎えます。だけど、贅沢な生活やホスト通いの楽しさが忘れられない子は、なんとかしてとどまろうとするんです」(同前)

 その方法のひとつが整形だという。若い女性の整形事情に詳しい銀座アテナクリニック院長の定村浩司さんによると「若くてきれいで、“治すところ”が見つからないような女性が増えた」という。

「彼女たちは“私の顔がいけないんじゃないか。もっと可愛ければ、前みたいに稼げるんじゃないか”といって整形を繰り返そうとします。プロの水商売の人たちのような営業努力をせず、大金を手に入れてしまったゆえに、いざ声がかからなくなると理由を自分の内面ではなく、ある意味手っ取り早く変えることができる外見に求めるようです」

 若さに”課金”し、得たお金でホストクラブに通う。お金がなくなれば、またそれを繰り返していく。いつか病んでゆくのは必然かもしれない。しかし渉さんは「病んでいく女の子たちを救うのも、またホストの仕事ではないか」という。

「ホストの仕事は、何かを与えること。“この人に会いに来るために、もっと頑張りたい”とか“輝きたい”とか、本来ホストクラブは、女の子たちにプラス・アルファの生きがいを与える場所なのだと思うのですが…」

 ホストがいて彼らを求める女性がいる限り歌舞伎町のネオンが消えることはない──。

取材・文/宇都宮直子

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