ビジネス

JR東海はなぜ車掌による「英語肉声アナウンス」を始めたのか

東海道新幹線と富士山(時事通信フォト)

観光客人気が高い新幹線から見える富士山(時事通信フォト)

 増える訪日外国人に対して、どのように対応するのかは日本のサービス業にとって喫緊の課題だ。公共交通機関でも多言語対応がすすんでいる。掲示や自動音声の種類を増やし、AI(人工知能)を利用して臨機応変にやりとりできることを目指したものもある。そんななか、東海道新幹線では車内放送で車掌の肉声による英語アナウンスが始まっていた。自動アナウンスが主流となっているいま、あえて肉声アナウンスを実施する狙いについて、ライターの小川裕夫氏がレポートする。

 * * *
 訪日外国人観光客数が年間3000万人を突破。その経済効果は、年間で1兆円を超える。かつて訪日外国人観光客の大半は、中国・韓国・台湾・香港が多くを占めた。最近は、欧米や東南アジアなど、幅広い地域から観光客が押し寄せるようになっている。

 最近の訪日外国人観光客が足を運ぶのは、東京・横浜・京都・大阪といった大都市圏だけではなくなり、地方都市にも及ぶようになった。そのため、鉄道の車内で外国人観光客のグループを見かけることも珍しくない。

 地方都市にも足を運ぶようになった外国人観光客の影響を受け、日本の大動脈でもある東海道新幹線は車内放送で車掌の肉声による英語アナウンスが聞かれるようになった。

 この肉声の英語アナウンスに対して、「まさにザ・日本人の英語という感じ。聞いていて恥ずかしくなる」「流暢ではないけれど、温かみを感じる。臨機応変に対応してもらえる」と賛否が入り混じった議論が巻き起こった。

 東海道新幹線だけではなく、JRグループ、私鉄各社は外国人観光客に対して掲示板の多言語表示や自動音声による英語の案内などを流して対応してきた。しかし、多言語表示もテープによる自動音声案内も、機械化の産物に過ぎない。いざというときは覚束ない。

 車掌の肉声による英語アナウンスは、状況に応じて対応できるというメリットがある。しかし、英語の習得には手間と時間を要する。英語でアナウンスができる人材育成は簡単ではない。いくら訪日外国人観光客が増えているとはいえ、わざわざJR東海が手間を要する肉声アナウンスに取り組む理由は何だろうか?

「特に、肉声による英語アナウンスにこだわっているわけではありません」と説明するのは、JR東海広報部東京広報室の担当者だ。

関連記事

トピックス

(2025年11月、ラオス。撮影/横田紋子)
熱を帯びる「愛子天皇待望論」、オンライン署名は24才のお誕生日を節目に急増 過去に「愛子天皇は否定していない」と発言している高市早苗首相はどう動くのか 
女性セブン
神田沙也加さんはその短い生涯の幕を閉じた
《このタイミングで…》神田沙也加さん命日の直前に元恋人俳優がSNSで“ホストデビュー”を報告、松田聖子は「12月18日」を偲ぶ日に
NEWSポストセブン
「台湾有事」よりも先に「尖閣有事」が起きる可能性も(習近平氏/時事通信フォト)
《台湾有事より切迫》日中緊迫のなかで見逃せない「尖閣諸島」情勢 中国が台湾への軍事侵攻を考えるのであれば、「まず尖閣、そして南西諸島を制圧」の事態も視野
週刊ポスト
裁判が進むにつれ山上徹也被告にも徐々に変化があらわれたという(写真/共同通信社)
《引き金を引くことを生きる目的に》山上徹也被告が法廷で初めて感じた“安倍元首相の命を奪った”という強烈なリアリティー 鈴木エイト氏が傍聴席で見た“犯人の実像”
週刊ポスト
ハワイ別荘の裁判が長期化している(Instagram/時事通信フォト)
《大谷翔平のハワイ高級リゾート裁判が長期化》次回審理は来年2月のキャンプ中…原告側の要求が認められれば「ファミリーや家族との関係を暴露される」可能性も
NEWSポストセブン
今年6月に行われたソウル中心部でのデモの様子(共同通信社)
《韓国・過激なプラカードで反中》「習近平アウト」「中国共産党を拒否せよ!」20〜30代の「愛国青年」が集結する“China Out!デモ”の実態
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《自宅でしっぽりオフシーズン》大谷翔平と真美子さんが愛する“ケータリング寿司” 世界的シェフに見出す理想の夫婦像
NEWSポストセブン
山上徹也被告が法廷で語った“複雑な心境”とは
「迷惑になるので…」山上徹也被告が事件の直前「自民党と維新の議員」に期日前投票していた理由…語られた安倍元首相への“複雑な感情”【銃撃事件公判】
NEWSポストセブン
お騒がせインフルエンサーのボニー・ブルー(時事通信フォト)
《潤滑ジェルや避妊具が押収されて…》バリ島で現地警察に拘束された英・金髪美女インフルエンサー(26) 撮影スタジオでは19歳の若者らも一緒だった
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(Instagramより)
「球場では見かけなかった…」山本由伸と“熱愛説”のモデル・Niki、バースデーの席にうつりこんだ“別のスポーツ”の存在【インスタでは圧巻の美脚を披露】
NEWSポストセブン
モンゴル訪問時の写真をご覧になる天皇皇后両陛下(写真/宮内庁提供 ) 
【祝・62才】皇后・雅子さま、幸せあふれる誕生日 ご家族と愛犬が揃った記念写真ほか、気品に満ちたお姿で振り返るバースデー 
女性セブン
「週刊ポスト」本日発売! プロ野球「給料ドロボー」ランキングほか
「週刊ポスト」本日発売! プロ野球「給料ドロボー」ランキングほか
NEWSポストセブン