ライフ

【著者に訊け】森絵都氏 エンタメ小説『カザアナ』

森絵都氏が『カザアナ』を語る

【著者に訊け】森絵都氏/『カザアナ』/1700円+税/朝日新聞出版

〈ええ、ええ、風穴のことでしたら、しかとおぼえております〉〈かつて京の都でもてはやされた異能の徒。その怪しき力ゆえに囲われ、使われ、うとまれ、あげくに葬られたあの者たちのいたわしき定を、なにゆえわすれることができましょう〉

 はて。何の話かと思いきや、森絵都著『カザアナ』は、行き過ぎた管理社会や自国愛が人々を逆に追いつめる日本の20年後を描いた、「ちょっぴり近未来のエンタメ小説」なのだった。

 平安末期、八条院暲子(しょうし)の庇護を受け、平清盛に滅ぼされたという一族の末路と、観光立国に生き残りを託す五輪後の日本で〈景勝特区〉に住む入谷家を繋ぐのは、庭や外観に〈ジャポい〉造作を義務付けられた特区の住民に大好評の造園会社、(株)カザアナの〈岩瀬香瑠〉ら、3人の存在だ。

 それぞれ〈石読(いしよみ)〉、〈空読(そらよみ)〉、〈虫読(むしよみ)〉の末裔として万象を読み、〈人にあらぬものと念をかよわせる〉彼らは、入谷家のシングルマザー〈由阿〉や〈里宇〉〈早久〉姉弟の窮地をも救い、日本の閉塞感に文字通り、風穴を開ける?

 一家が住む東京都久留瀬市藤寺町や風穴の存在自体、むろん想像の産物。一昨年の本屋大賞第2位に輝き、永作博美主演でドラマ化もされた前作『みかづき』が学習塾経営者夫婦を描いた小説だっただけに、作品の飛び幅にまず舌を巻く。

関連記事

トピックス

NHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』の打ち上げに参加したベッキー
《ザックリ背面ジッパーつきドレス着用》ベッキー、大河ドラマの打ち上げに際立つ服装で参加して関係者と話し込む「充実した日々」
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
雅子さまが三重県をご訪問(共同通信社)
《お洒落とは》フェラガモ歴30年の雅子さま、三重県ご訪問でお持ちの愛用バッグに込められた“美学” 愛子さまにも受け継がれる「サステナブルの心」
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
一般女性との不倫が報じられた中村芝翫
《芝翫と愛人の半同棲にモヤモヤ》中村橋之助、婚約発表のウラで周囲に相談していた「父の不倫状況」…関係者が明かした「現在」とは
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(共同通信/Instagramより)
《噂のパートナーNiki》この1年で変化していた山本由伸との“関係性”「今年は球場で彼女の姿を見なかった」プライバシー警戒を強めるきっかけになった出来事
NEWSポストセブン
マレーシアのマルチタレント「Namewee(ネームウィー)」(時事通信フォト)
人気ラッパー・ネームウィーが“ナースの女神”殺人事件関与疑惑で当局が拘束、過去には日本人セクシー女優との過激MVも制作《エクスタシー所持で逮捕も》
NEWSポストセブン
デコピンを抱えて試合を観戦する真美子さん(時事通信フォト)
《真美子さんが“晴れ舞台”に選んだハイブラワンピ》大谷翔平、MVP受賞を見届けた“TPOわきまえファッション”【デコピンコーデが話題】
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組・司忍組長2月引退》“竹内七代目”誕生の分岐点は「司組長の誕生日」か 抗争終結宣言後も飛び交う「情報戦」 
NEWSポストセブン
活動を再開する河下楽
《独占告白》元関西ジュニア・河下楽、アルバイト掛け持ち生活のなか活動再開へ…退所きっかけとなった騒動については「本当に申し訳ないです」
NEWSポストセブン
ハワイ別荘の裁判が長期化している
《MVP受賞のウラで》大谷翔平、ハワイ別荘泥沼訴訟は長期化か…“真美子さんの誕生日直前に審問”が決定、大谷側は「カウンター訴訟」可能性を明記
NEWSポストセブン
11月1日、学習院大学の学園祭に足を運ばれた愛子さま(時事通信フォト)
《ひっきりなしにイケメンたちが》愛子さま、スマホとパンフを手にテンション爆アゲ…母校の学祭で“メンズアイドル”のパフォーマンスをご観覧
NEWSポストセブン