国際情報

韓国の出生率が急降下 今年は0.9を下回る最低値を更新か

日本との歴史問題より、少子化対策を(EPA=時事)

 韓国で出生率の急激な下落が止まらない。韓国紙・朝鮮日報(2019年7月31日付)の報道によると、韓国の合計特殊出生率(1人の女性が一生の間に何人の子を産むかを表す指標)は、2016年に1.17だったのが、2017年に1.05、2018年には1.0を初めて割り込んで0.98に下がったが、漢陽大学のイ・サムシク教授が今年の1月から5月までの新生児数から推計したところ、今年は0.89にまで下がると予測したという。

 この数字がただ事でないことは、他国の出生率と比較すればわかる。少子化が進む日本では、2018年の出生数は91万8397人で過去最低を更新したが、それでも合計特殊出生率は2017年から0.01ポイントマイナスの1.42である。アメリカは1.80(2016年)、中国は1.62(2016年)、危機的な水準といわれている台湾でも1.13(2017年)である。

 韓国統計庁は2018年までの急激な出生率低下を受けて、人口予測の見直しを実施し、出生率と寿命をもっとも低く見積もった場合、総人口は今年の5165万人がピークで、来年から減少に転じ、2034年には5000万人を割り込むとの推計を発表している。他国のことを言えた義理ではないが、労働人口と経済は密接な関係があり、このまま出生率が低空飛行を続ければ、よほど積極的に移民を受け入れたりしない限り、数十年後に韓国経済が著しく衰退していくのは確実と言える。

 しかし、なぜ韓国ではここまで出生率が下がっているのか。『韓国「反日フェイク」の病理学』(小学館新書)などの著書がある韓国人作家の崔碩栄氏はこう分析する。

「韓国では正社員になれずに非正規雇用で働く若者が増え、経済も失速しつつある。こうした経済的な理由が背景にあるのは間違いありません。それに加えて、韓国特有の文化が、出産の前提となる若者の結婚を邪魔しているという面もあります。

 韓国紙・中央日報の記事(2018年12月4日付)によると、韓国の結婚費用は男性で平均1億4000万~1億5000万ウォン(1300万円前後)、女性で平均6000万~7000万ウォン(600万円前後)が必要とされています。韓国人は儒教の影響で体面を気にするので、結婚式には100~200人を招待するのが普通ですし、女性は『結婚するなら賃貸はダメ、持ち家じゃないと』などとこだわるので、とにかく結婚にはお金がかかる。一流企業の正社員でもない限り、20代でこんな金額を貯金できる人はまずいないので、親から援助してもらうのですが、親が裕福でないとそれも無理です」

関連キーワード

関連記事

トピックス

上原多香子の近影が友人らのSNSで投稿されていた(写真は本人のSNSより)
《茶髪で缶ビールを片手に》42歳となった上原多香子、沖縄移住から3年“活動休止状態”の現在「事務所のHPから個人のプロフィールは消えて…」
NEWSポストセブン
ラオス語を学習される愛子さま(2025年11月10日、写真/宮内庁提供)
《愛子さまご愛用の「レトロ可愛い」文房具が爆売れ》お誕生日で“やわらかピンク”ペンをお持ちに…「売り切れで買えない!」にメーカーが回答「出荷数は通常月の約10倍」
NEWSポストセブン
王子から被害を受けたジュフリー氏、若き日のアンドルー王子(時事通信フォト)
《10代少女らが被害に遭った“悪魔の館”写真公開》トランプ政権を悩ませる「エプスタイン事件」という亡霊と“黒い手帳”
NEWSポストセブン
「性的欲求を抑えられなかった」などと供述している団体職員・林信彦容疑者(53)
《保育園で女児に性的暴行疑い》〈(園児から)電話番号付きのチョコレートをもらった〉林信彦容疑者(53)が過去にしていた”ある発言”
NEWSポストセブン
『見えない死神』を上梓した東えりかさん(撮影:野崎慧嗣)
〈あなたの夫は、余命数週間〉原発不明がんで夫を亡くした書評家・東えりかさんが直面した「原因がわからない病」との闘い
NEWSポストセブン
テレ朝本社(共同通信社)
《テレビ朝日本社から転落》規制線とブルーシートで覆われた現場…テレ朝社員は「屋上には天気予報コーナーのスタッフらがいた時間帯だった」
NEWSポストセブン
62歳の誕生日を迎えられた皇后雅子さま(2025年12月3日、写真/宮内庁提供)
《愛子さまのラオスご訪問に「感謝いたします」》皇后雅子さま、62歳に ”お気に入りカラー”ライトブルーのセットアップで天皇陛下とリンクコーデ
NEWSポストセブン
竹内結子さんと中村獅童
《竹内結子さんとの愛息が20歳に…》再婚の中村獅童が家族揃ってテレビに出演、明かしていた揺れる胸中 “子どもたちにゆくゆくは説明したい”との思い
NEWSポストセブン
日本初の女性総理である高市早苗首相(AFP=時事)
《初出馬では“ミニスカ禁止”》高市早苗首相、「女を武器にしている」「体を売っても選挙に出たいか」批判を受けてもこだわった“自分流の華やかファッション”
NEWSポストセブン
「一般企業のスカウトマン」もトライアウトを受ける選手たちに熱視線
《ソニー生命、プルデンシャル生命も》プロ野球トライアウト会場に駆けつけた「一般企業のスカウトマン」 “戦力外選手”に声をかける理由
週刊ポスト
前橋市議会で退職が認められ、報道陣の取材に応じる小川晶市長(時事通信フォト)
《前橋・ラブホ通い詰め問題》「これは小川晶前市長の遺言」市幹部男性X氏が停職6か月で依願退職へ、市長選へ向け自民に危機感「いまも想像以上に小川さん支持が強い」
NEWSポストセブン
割れた窓ガラス
「『ドン!』といきなり大きく速い揺れ」「3.11より怖かった」青森震度6強でドンキは休業・ツリー散乱・バリバリに割れたガラス…取材班が見た「現地のリアル」【青森県東方沖地震】
NEWSポストセブン