GSOMIAの件でも岩屋氏は「延長に期待している。日米韓の連携にも資する」と韓国を慮ったような発言をしたが、これもバッシングの対象だ。さらには、辺野古の土砂投入や軟弱地盤問題では、野党からも批判されフルボッコ状態である。
諸外国との関係において3つの柱は外交・経済・安全保障だが、韓国に批判的なネット民からすればこの3つが足並みを揃えていないように見えるのだろう。「世耕、河野はやるべきことをやっているんだから、岩屋も同じようにやれ!」という苛立ちが感じられる。だからこそ、小野寺五典氏の防衛相復帰を求める声も出ているのだ。
とはいっても、よくよく考えると岩屋氏は8回、桜田氏は7回の当選を誇るにもかかわらず、今回が初入閣だ。地元の名士として「先生! 先生!」なんて言われ、「ガハハハハ、今宵は愉快よのぉ!」なんてやるほどの器は持っているのだろうが、野党や記者の厳しい追及に適切な答えをするのは難しかったのでは。いや、2人とも性格が良さそうなのは分かる。
ましてや各国のエリート大臣を相手にするのはそれ以上に困難な仕事だ。さらには、当面の相手は韓国だが、相手は何しろ兵役を経験したこともある人物である。ナメられないか心配になり、どこか子供を見守る親のような気持ちにさせる不思議な大臣である。
●なかがわ・じゅんいちろう/1973年生まれ。ネットで発生する諍いや珍事件をウオッチしてレポートするのが仕事。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』など
※週刊ポスト2019年9月13日号