「とりわけ心配されているのは、先代の育てた力士たちと、現千賀ノ浦親方のもとで育ったグループの間に溝があることです。というのも、現在の部屋の建物は先代の所有で、今も先代夫婦が最上階に住んでいて影響力が強い。大阪場所でも先代時代からの弟子たちだけの会食が催されていた。いまは同じ部屋の弟子なのに扱いが違って、きちんと稽古に集中できる環境なのか懸念されていた」(同前)
もともとそうした構図があったところへ元貴乃花部屋の力士が入ってきたのだ。
「人気と実力があるのは、貴景勝をはじめとする元貴乃花部屋の力士。ただ、彼らは路頭に迷いかねないところを千賀ノ浦部屋に救ってもらったかたち。それなのに番付が上だから、もともと千賀ノ浦部屋にいた力士が付け人になる。今回、貴ノ富士が暴力を振るったのは現在の千賀ノ浦親方のもとで育った序二段力士でした。親方も怒り心頭でしょう」(二所ノ関一門の親方)
結果として、貴景勝の場所前の調整にも不安が残った。連合稽古などでは関取衆を相手に負け越し、各メディアも調整の不安を報じた。
「貴景勝は夏巡業を全休し、部屋での稽古を避けて、母校の埼玉栄高で高校生相手に稽古をしていた。埼玉栄で膝を専門とするトレーナーらと治療にあたるということだったが、部屋の夏合宿(8月6~10日)も欠席した。親方のもとではないところで稽古をする状態が続いていたのです。
千賀ノ浦部屋の女将さんが書いている部屋のブログでは、貴景勝の誕生日(8月5日)にわざわざ、女将さんから貴景勝への手紙が掲載された。〈師匠と私から目に見えないバースデーケーキを贈ります〉といった内容だが、わざわざネットに掲載されたのは、問題ないとアピールするためだったのではないか」(同前)