多面的な役柄を得意とする高橋一生

 過去作品を振り返っても、高橋さんは「普通とはほど遠い人格」の役になると、必ずといっていいほど光を放ってきました。例えば『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(フジテレビ系)の引っ越し屋・佐引穣次は、金髪のねちねちしたイジメ野郎で、よくぞここまでひねくれた冷淡な性格を演じられるなという演技で際立っていました。

『おんな城主 直虎』(NHK)の小野但馬守政次役では、屈折したツンデレキャラを貫き、圧巻の処刑シーンは「政次ロス」を巻き起こしました。

『カルテット』(TBS系)の家森諭高役は、理屈っぽくてこだわりが強く、唐揚げにレモンをかけることを否定する独自理論を展開して話題に。いずれもハマリ役でした。

 複雑で多面的で一筋縄ではいかない人物をやらせるとムチャクチャ輝くという希有な役者。高橋一生さんに、平凡というものを求めてはいけないのかもしれません。

 さて、今回の作品ではもう一人、高橋さんの個性を輝かせたあの人の存在も忘れてはいけません。そう、安良城ゴンを演じた中村倫也さんです。表情を崩さず一定に保ち、セリフは低音で抑え目、何でも受け入れていく肯定性と生きたいように生きる自由をまさしくゴンが体現していて、慎二とゴンの鮮やかな対比を浮かび上がらせてくれました。

 中村さんは演技プランや狙いをもってしっかりと役作りをして相手の個性を際立たせる、役者としての凄さも感じさせてくれました。

 変人をやらせたらピカ一の高橋さんが、よき相棒に恵まれた今回の作品。役者の力量とともにキャスティングの妙、脚本、演出、音楽、すべてが美しいハーモニーを奏でたドラマだったと言えるでしょう。

関連記事

トピックス

シーズンオフを家族で過ごしている大谷翔平(左・時事通信フォト)
《お揃いのグラサンコーデ》大谷翔平と真美子さんがハワイで“ペアルックファミリーデート”、目撃者がSNS投稿「コーヒーを買ってたら…」
NEWSポストセブン
愛子さまのドレスアップ姿が話題に(共同通信社)
《天皇家のクリスマスコーデ》愛子さまがバレエ鑑賞で“圧巻のドレスアップ姿”披露、赤色のリンクコーデに表れた「ご家族のあたたかな絆」
NEWSポストセブン
1年時に8区の区間新記録を叩き出した大塚正美選手は、翌年は“花の2区”を走ると予想されていたが……(写真は1983年第59回大会で2区を走った大塚選手)
箱根駅伝で古豪・日体大を支えた名ランナー「大塚正美伝説」〈3〉元祖“山の大魔神”の記録に挑む5区への出走は「自ら志願した」
週刊ポスト
12月中旬にSNSで拡散された、秋篠宮さまのお姿を捉えた動画が波紋を広げている(時事通信フォト)
〈タバコに似ているとの声〉宮内庁が加湿器と回答したのに…秋篠宮さま“車内モクモク”騒動に相次ぐ指摘 ご一家で「体調不良」続いて“厳重な対策”か
硫黄島守備隊指揮官の栗林忠道・陸軍大将(写真/AFLO)
《戦後80年特別企画》軍事・歴史のプロ16人が評価した旧日本軍「最高の軍人」ランキング 1位に選出されたのは硫黄島守備隊指揮官の栗林忠道・陸軍大将
週刊ポスト
米倉涼子の“バタバタ”が年を越しそうだ
《米倉涼子の自宅マンションにメディア集結の“真相”》恋人ダンサーの教室には「取材お断り」の張り紙が…捜査関係者は「年が明けてもバタバタ」との見立て
NEWSポストセブン
地雷系メイクの小原容疑者(店舗ホームページより。現在は削除済み)
「家もなく待機所で寝泊まり」「かけ持ちで朝から晩まで…」赤ちゃんの遺体を冷蔵庫に遺棄、“地雷系メイクの嬢”だった小原麗容疑者の素顔
NEWSポストセブン
平沼翔太外野手、森咲智美(時事通信フォト/Instagramより)
《プロ野球選手の夫が突然在阪球団に移籍》沈黙する妻で元グラドル・森咲智美の意外な反応「そんなに急に…」
NEWSポストセブン
死体遺棄・損壊の容疑がかかっている小原麗容疑者(店舗ホームページより。現在は削除済み)
「人形かと思ったら赤ちゃんだった」地雷系メイクの“嬢” 小原麗容疑者が乳児遺体を切断し冷凍庫へ…6か月以上も犯行がバレなかったわけ 《錦糸町・乳児遺棄事件》
NEWSポストセブン
11月27日、映画『ペリリュー 楽園のゲルニカ』を鑑賞した愛子さま(時事通信フォト)
愛子さま「公務で使った年季が入ったバッグ」は雅子さまの“おさがり”か これまでも母娘でアクセサリーや小物を共有
NEWSポストセブン
62歳の誕生日を迎えられた皇后雅子さま(2025年12月3日、写真/宮内庁提供)
《累計閲覧数は12億回超え》国民の注目の的となっている宮内庁インスタグラム 「いいね」ランキング上位には天皇ご一家の「タケノコ掘り」「海水浴」 
女性セブン
ネックレスを着けた大谷がハワイの不動産関係者の投稿に(共同通信)
《ハワイでネックレスを合わせて》大谷翔平の“垢抜け”は「真美子さんとの出会い」以降に…オフシーズンに目撃された「さりげないオシャレ」
NEWSポストセブン