肝心の試合は立ち上がりからフランスがアルゼンチンを圧倒して3-20で前半を終了した。後半に目覚めたアルゼンチンが猛反撃した際は座席の不満を忘れかけたが、アルゼンチンのトライはいずれもAさんの席とは逆のサイドでよく見えなかった。

 試合終了直前には逆転を賭けたペナルティキックが無情にもポストを外れ、アルゼンチンは21-23で敗退した。“ノンプレミアム”なシートで贔屓チームの敗戦を見届けたAさんはガックリ肩を落としてトボトボと家路についたという。

 運営側はAさんの嘆きをどう受け止めるのか。今大会の公式ホスピタリティー提供者としてプレミアムシートを企画販売するのは、STH Japan株式会社だ。同社に問い合わせると、担当者は「A様のご期待に沿えなかったことは大変残念なことであり、真摯に受け止めております」としたうえで、次のように回答した。

「プレミアムシートは座席からピッチ全体が見渡せるように配慮されたカテゴリーAのチケットを保証しています。公式ホスピタリティーのような付加価値商品には、入手が不確実である抽選なしでカテゴリーAのチケットが確実にご購入頂けるという安心も含まれると考えております。すべてのお客様にご購入価格に見合ったおもてなしとともに、最高の観戦体験をお届けできるよう運営しております」

 同社は10試合を終えた段階で6911人に公式ホスピタリティーを提供し、「非常に満足」という意見を受け取っているとも回答した。

 もちろん、プレミアムシートを割高ととらえるか適正ととらえるかは、人それぞれの価値観による。Aさんは自嘲気味にこう話す。

「満足度は人によって違うだろうから、“あの内容で8万円は高い”という評価が絶対に正しいと主張するつもりはありません。ただ私は10月5日のアルゼンチン対イングランド戦も通常のカテゴリーAが3万円のところ、8万2000円を出してプレミアムシートを購入しましたが、チケットを確認するとやはりバックスタンドでフランス戦よりさらに端の席でした。一試合のみ記念で観戦するのではなく、複数の試合を自腹で購入すると割高感が増すのかもしれません。もうこうなったら“水筒コレクター”になるしかないですね……」

 観戦にまつわる悲喜こもごもを交えながら、記念すべき日本大会が続く。

●取材・文/池田道大(フリーライター)

関連キーワード

関連記事

トピックス

《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平の通訳・水原一平氏以外にもメジャーリーグ周りでは過去に賭博関連の騒動も
M・ジョーダン、P・ローズ、琴光喜、バド桃田…アスリートはなぜ賭博にハマるのか 元巨人・笠原将生氏が語る「勝負事でしか得られない快楽を求めた」」
女性セブン
”令和の百恵ちゃん”とも呼ばれている河合優実
『不適切にもほどがある!』河合優実は「偏差値68」「父は医師」のエリート 喫煙シーンが自然すぎた理由
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン