「リーチマイケルのために命を懸けて戦う」と公言する日本代表選手も少なくないほどのキャプテンシーを持つ(写真/アフロ)

「高校時代に日本に留学してから、ぼくは日本人選手と練習したり、試合したりして、選手としても、人間としても成長できました。でも、海外では日本のラグビーを下に見る人が多いでしょう。それが悔しかった。日本代表の強さを世界に知ってもらいたいと考えるようになりました」

 15才で北海道の札幌山の手高校に留学したリーチは、東海大学を経て、ラグビートップリーグのチーム「東芝ブレイブルーパス」でプレーを続ける。2012年には大学の同級生だった日本人女性と結婚。愛娘との3人家族だ。

 リーチは結婚の翌年、日本国籍を取得したが、ラグビーに馴染みがない人たちは疑問に思っているのではないか。なんで日本代表なのに、外国人選手がたくさんいるの、と。

 ラグビーの国家代表になるためには、必ずしも帰化し、国籍を取得する必要はない。現在は、次の3つのうちいずれかをクリアすれば、その国の代表としてプレーできる。

〈出生地がその国〉
〈両親、祖父母のうち1人がその国出身〉
〈その国で3年以上、継続して居住。または通算10年にわたり居住〉

 3年居住のルールは、来年末から5年居住に変更される。

 リーチは、生まれ育ったニュージーランドと母親の故郷であるフィジーの代表になる資格があったが、日本を選んだ。常々彼は「日本で受けた恩をラグビーで返したい」と話している。

「高校2年生の時に、ニュージーランドの実家が火事になってしまったんです。心配していると、実家からメールが届きました。ぼくには何も言わず、高校の監督が北海道のラグビー関係者のかたたちに声をかけて集めた義援金を実家に送ってくれていたんです。

 本当にありがたかった。ぼくは日本で、たくさんの人のお世話になった。その恩はラグビーで返すしかない。何があっても、日本以外の国の代表になるわけにはいかないと思いました」

 日本代表の31人のメンバーのうち、日本以外にルーツを持つ選手は6か国16人。それは日本代表だけではない。トンガ代表は19人、サモアは18人、スコットランドは15人…。他国でも異なるルーツを持つ代表選手が活躍する。ラグビーの代表チームは、国籍や人種、文化、宗教、言語にとらわれないダイバーシティ(多様性)を持つ。

 それなら、強くて上手な外国人選手をたくさん呼べば、チームはもっと強くなるのではないかと考える人もいるかもしれない。しかし話はそう単純ではない。

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