◆コンパクトシティ議論を再開する余地
「この間、北海道に旅行に行ったんだけどさ、海きれいでしょ、海産物おいしいでしょって言われて、いやあ、お金かけて行って青森と違わないじゃないかと思ったよ」
「今度、マグロの解体ショーをバスツアーで見に行くんです」
「なに、そんなのもうすぐしたら、うちでもマグロ解体するから、開店前に来てくれたら、目の前で解体ショーしてあげるよ」
青森市内のある飲食店では、常連客たちが店主と笑いながらこんな話をしていた。マグロの解体ショーを見るためにバスツアーに参加するという中年夫婦の女性は、「ここに住んでいると、意外に地元の良さに気づかないんですよね」と。
青森市に本社を置く中堅企業の経営者は、コンパクトシティ議論の再開を望んでいる。
「いま、青森市内はマンション建設によって、若い世代が徐々に市内に戻ってきており、少し元気が出てきたかなと。街全体の縮小傾向は止められないだろうけど、アウガも再スタートしたことだし、もう一度、コンパクトシティについて議論を再開しても良いのではないかと思います」
新幹線の影響もあり、観光客数は堅調である。県内の観光地はもちろん、函館との連携も着実に効果を上げているようだ。
別の経営者は、「UターンだIターンだと言っても、働く場がなければ若者は戻ってこない。経営者も地方だから安い給料でも仕方ないという発想から抜け出さないといけないだろう」と言う。
“コンパクトシティの失敗都市”というレッテルは返上し、今こそ新たな取り組みの可能性を追求する時期だ。