「イベントを立ち上げ、小さな子供を抱き上げ、野球を通して育てていく。記録だけでなく、いろんなことを残してくれました。それを次の世代に伝えることが恩返しだと思っています。
金田さんが400勝しています。(実弟の)留広さんや(おいの)金石(昭人)さんも含めて金田一族で600勝。これを1000勝にしてもらいたい。一族に遺志を継げる野球少年がいるなら、私が金田さんから受けた教えを、愛情を持って伝えたいと思っています」
そして、こう結んだ。
「金田さん、私はすぐにはそちらに参りません。でもそのうち行くことになると思います。その時は“兆治来たか”と迎えてください」
◆口は悪いが、嘘はつかない
葬儀の後、改めて村田氏に胸中を聞いた。生前の“指名”については、「急なことで風邪も引けなかったね」と苦笑しながら、「光栄なことですよ」と続ける。
「金田さんは、口は悪いが嘘をつかない。怒鳴るけど、フォローを忘れない。だから信用できる人だった。その金田さんから理解されていたと思うと嬉しかった。でも、こんなに早く別れがやってくるとはね……」
離島での少年野球教室がライフワークの村田氏は、「野球を通じた人材育成をやってきたのが金田さん。それを引き継いでいくつもりです」と語った。“カネやん”の志は、脈々と受け継がれていく。
●写真提供/カネダ企画
※週刊ポスト2019年11月1日号