「小池にはマラソン札幌開催をギリギリまで知らせるなというのが森会長周辺の暗黙の了解だった」
組織委員会関係者は“小池外し”が最初からの作戦だったと語った。森氏と橋本氏は秘密裏に札幌開催へ国内での根回しに動いた。10月8日に組織委員会は五輪チケットの第2次申し込み受付の延期を決め、翌9日には森氏が首相官邸で安倍首相と会談、10日には森氏と橋本氏が一緒に札幌市長と会談した。
「小池知事はチケット販売延期の理由を『関係者の調整がついていない』と聞かされていたし、森会長の札幌行きも全く知らなかった」(都庁幹部)
小池氏が札幌開催案を組織委員から聞かされたのは、IOCの発表前日の10月15日。森氏に対し、「どうして私に電話を下さらなかったのか」と食ってかかったが、その時にはすでに外堀は埋められていた。
◆「2030年札幌五輪」の思惑
「灼熱の8月に東京でのマラソン開催は選手に死者が出かねない」。それがIOCの開催地変更の理由だ。
だが、変更の経緯には不自然に映る点がある。ドーハの世界陸上の女子マラソンが見直しのきっかけだったのなら、IOCがマラソン開催地の見直しを検討する際、世界陸上を主催する国際陸連の意見を聞くのが自然な流れのはずだ。
しかし、IOCが国際陸連に伝えたのは発表当日だった。「IOCに札幌開催を働きかけたのは日本側」と見るのは組織委員会関係者だ。