老人と子どもは、大人のような労働や生殖の役割から解放された自由な時期。伝統や経験を伝え、子どもの創造性を育むという老人の役割を発揮できる社会が、真の豊かさにつながる。
「昔は社会の変化が緩やかだったこともあり、経験に基づく知識の重要性も高かったでしょう。ところが、戦後の経済成長を絶対的な目標とした生産性優位の社会では、老人の経験が生かされる機会は減り、子どもの教育は1つの制度として大人の仕事に。しかし、経済が成熟したこれからの社会では、再び老人や子どもの持つ本来の役割や潜在的な力が見直されるでしょう」
大人は、もっと子どもの好奇心を大切に、老人の語る伝統に耳を傾けるべき。そして老人の懐で子どもが豊かに創造力を育むことが再発見され、幼老複合施設も増えている。
「老人と子どもだけを切り離して考えるのではなく、コミュニティー全体のあり方を考えていくことが重要だと思います。たとえば商店街や町内会、地域のコミュニティー活動など、いろいろな世代が交じり合う空間も大切です」
※女性セブン2019年11月7・14日号