問題は資金の使途だ。当時、自民党支持者の1人は、「知り合いがある県議の食事会に出席した。知事選に新人が出るから応援してやってほしいという話を聞いてわいわい食事した後、会費5000円を払おうとしたら、“今日はいいから”と受け取ってもらえなかったそうです」と語っていた。県議に配られたカネが、自民党候補への支持を訴える“無料食事会”などに使われたとすれば、公選法の買収にあたる可能性があることを本誌記事で指摘した。
あのカネは政治資金収支報告書でどう処理されたのか。自民党茨城県連の2017年の報告書は昨年11月に公表された。代表者は梶山氏の名前になっている。内容を改めて確認すると、2017年3月から7月にかけて45人の県議に「組織対策費」が配られており、金額は130万円が42人、100万円が2人、230万円が1人で総額5890万円にのぼる。本誌が報じた6000万円のバラ撒きが裏付けられた。
梶山代表の茨城県連がやったことは、選挙前に県議に現金を配ったとされる河井夫妻と同質ではないか。
◆〈適正に報告しているところです〉
本誌は県連の収支報告書に名前の記載があった自民党県議に話を聞いた。
「きちんと組織対策費として配られたもの。載せていない人もいたようだが、自分の政治資金収支報告書にも記載しているはず。私たち県会議員は文書交通費が足りていないので、そうしたところに使っている」
他の県議たちにもぶつけると、使途についてはほとんどの県議が口裏を合わせたように「組織拡大のために使った」「知事選の選挙資金とは考えていない」「県連の指導でキチンと処理している」と答えたが、奇妙なことに現金を受け取った県議たちの政党支部の収支報告書を調べると、この組織対策費の受領を記載している者は1人もいなかった。