対して、“スピード出世”で注目されたのは今年の3月場所で初土俵から11場所での新入幕を果たした友風(前頭3、24)だが、今場所は2日目に右膝を負傷し、翌日から休場となった。
その友風を病院送りにした琴勇輝(前頭4、28)は、同じ佐渡ヶ嶽部屋の琴恵光(前頭7、27)とともに、叩き上げのガチンコ力士として知られる。
「琴勇輝は体を反らせ“ホオッ!”と奇声をあげる独特の仕切りが人気です。それに嫉妬したのか以前、白鵬が力士会で“犬じゃないんだから、吠えるな”と叱りつけたが、それでもしばらくはやめようとしなかった図太さがある。琴恵光は祖父が立浪部屋の元十両・松恵山。祖父の相撲道場で鍛え上げ、真面目な性格で弟弟子からの信頼も厚い」(前出・担当記者)
今場所最注目株だったのが若隆景(前頭16、24)。
「母方の祖父は元小結・若葉山で、父は立田川部屋の幕下力士だった若信夫。幕下・若隆元、十両・若元春という2人の兄とともに、荒汐部屋に所属する生粋の相撲一家の力士」(同前)
初日から4連勝をあげていたが、4日目の照強との一番で古傷の右足首を痛め休場してしまった。大関返り咲きを目指していた関脇・栃ノ心(32)も4日目の宝富士(前頭3、32)戦で珍手の“首捻り”で勝ったが、右わき腹を痛め休場となった。
「ガチンコ力士は最後まで力を抜かないために土俵下に転落したり、無我夢中で強引な技を繰り出すためにケガが多い。星の潰し合いが増えることで終盤まで優勝争いがもつれ込むのもガチンコ場所ならではの展開です」(同前)
ふがいない相撲ばかりの上位陣よりも、個性溢れる平幕力士たちのほうが、後半戦の土俵を沸かせていくことになりそうだ。
※週刊ポスト2019年11月29日号