現在の安倍首相とトランプ大統領、北朝鮮、韓国などをめぐる状況からは想像もできないような外交のダイナミズムが、中曽根外交にはあった。山崎氏は、2人をこう比較する。
「官邸主導を最初に打ち出したのは中曽根政権で、安倍さんもそれを引き継いでいるように見えますが、実際は全く違う。安倍政権の官邸主導は官僚の人事権を官邸が握るというだけで、政策は相変わらず官僚が作っている。外交でいえば昔は外務省だったのが、NSC(国家安全保障会議)という警察官僚を中心とした組織にシフトしただけ。
中曽根さんの場合は、政策はすべて中曽根さんの頭の中にあり、経団連会長の土光敏夫さんらの民間活力を取り入れてJRやNTTの民営化を動かしていった。両首相の官邸主導の内実は全く違います」
※週刊ポスト2019年12月20・27日号