芸能

94才・橋田壽賀子が語る 母・夫・姑 そして「私は二流」

現在は週3回、個人トレーナーについてトレーニングを行ったり、独身時代からの友人とよく一緒に旅をする。ともに夫を見送り、気楽な立場だ(撮影/森浩司)

 36年ぶりに再放送中の『おしん』(NHK BSプレミアム)や、9月に放送された『渡る世間は鬼ばかり』(TBS系)の3時間スペシャルドラマなど、令和になっても、橋田壽賀子作品は人々の注目を集めている。そんな中、橋田は94年の人生で初の自伝的エッセイを発売。その素顔に迫るべく、取材陣は熱海へと向かった──。

『おしん』執筆のきっかけは、戦後すぐに山形を訪ねた時の経験からだ。地元の人が「この辺りでは、ついこの間まで多くの娘たちが、小学校を出るか出ないかの年で、米一俵と引き換えに奉公に出たものだ」と語るのを聞き、自分の境遇との差に愕然とし、作品の構想を温め続けた。

 貧困と闘ったおしんは生涯を、橋田自身は青春時代を戦争に翻弄されて生きた。戦争で奪われた命をたくさん見た。だから、橋田は、「人殺しは絶対に書かない」と言う。

 おしんの人生は、橋田自身の94年の人生とも多くの部分が重なる。先頃上梓した自伝的エッセイ『人生ムダなことはひとつもなかった 私の履歴書』(大和書房)では、これまで秘めてきた波乱の半生を綴っている。おしんとの違いは、橋田は経済的には何不自由のない家に生まれ育ったことだ。

「でも、子離れできない母のもとで、不自由な子供時代を送っているんですよ。父が、現在の韓国・ソウルで事業をやっていたので、私と母は大阪で2人暮らしだったんです」

 母親の愛情の“はけ口”は、ひとりっ子の橋田に集中した。

「私がひとりではさびしいだろうからと、山のようにおやつとおもちゃを用意して、友達を家に招くんです。当時のことですから、どこの家も子だくさんで、友達はみな、おやつもろくに食べられない。だから喜んでうちに来る。

 私は友達と遊ぶなんて面倒くさいことは嫌。ひとりで本を読んでいたいのに。女学校に行くようになってからは、帰りが少しでも遅くなると、電信柱の陰に隠れて母が待っている。私の欲しくない愛情を注いで、自分の思うとおりに育てたい、子離れできない母でした」

関連記事

トピックス

多くの外国人観光客などが渋谷のハロウィンを楽しんだ
《渋谷ハロウィン2025》「大麻の匂いがして……」土砂降り&厳戒態勢で“地下”や“クラブ”がホットスポット化、大通りは“ボヤ騒ぎ”で一時騒然
NEWSポストセブン
声優高槻かなこ。舞台や歌唱、配信など多岐にわたる活躍を見せる
【独占告白】声優・高槻かなこが語る「インド人との国際結婚」の真相 SNS上での「デマ情報拡散」や見知らぬ“足跡”に恐怖
NEWSポストセブン
人気キャラが出現するなど盛り上がりを見せたが、消防車が出動の場面も
渋谷のクラブで「いつでも女の子に(クスリ)混ぜますよ」と…警察の本気警備に“センター街離れ”で路上からクラブへ《渋谷ハロウィン2025ルポ》
NEWSポストセブン
クマによる被害
「走って逃げたら追い越され、正面から顔を…」「頭の肉が裂け頭蓋骨が見えた」北秋田市でクマに襲われた男性(68)が明かした被害の一部始終《考え方を変えないと被害は増える》
NEWSポストセブン
園遊会に出席された愛子さまと佳子さま(時事通信フォト/JMPA)
「ルール違反では?」と危惧する声も…愛子さまと佳子さまの“赤色セットアップ”が物議、皇室ジャーナリストが語る“お召し物の色ルール”実情
NEWSポストセブン
(時事通信フォト)
「日本ではあまりパートナーは目立たない方がいい」高市早苗総理の夫婦の在り方、夫・山本拓氏は“ステルス旦那”発言 「帰ってきたら掃除をして入浴介助」総理が担う介護の壮絶な状況 
女性セブン
9月に開催した“全英バスツアー”の舞台裏を公開(インスタグラムより)
「車内で謎の上下運動」「大きく舌を出してストローを」“タダで行為できます”金髪美女インフルエンサーが公開した映像に意味深シーン
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(クマの画像はサンプルです/2023年秋田県でクマに襲われ負傷した男性)
《コォーってすごい声を出して頭をかじってくる》住宅地に出没するツキノワグマの恐怖「顔面を集中的に狙う」「1日6人を無差別に襲撃」熊の“おとなしくて怖がり”説はすでに崩壊
NEWSポストセブン
「原点回帰」しつつある中川安奈・フリーアナ(本人のInstagramより)
《腰を突き出すトレーニング動画も…》中川安奈アナ、原点回帰の“けしからんインスタ投稿”で復活気配、NHK退社後の活躍のカギを握る“ラテン系のオープンなノリ”
NEWSポストセブン
真美子さんが完走した「母としてのシーズン」
《真美子さんの献身》「愛車で大谷翔平を送迎」奥様会でもお酒を断り…愛娘の子育てと夫のサポートを完遂した「母としての配慮」
NEWSポストセブン
11歳年上の交際相手に殺害されたとされるチャンタール・バダルさん(21)千葉県の工場でアルバイトをしていた
「肌が綺麗で、年齢より若く見える子」ホテルで交際相手の11歳年下ネパール留学生を殺害した浅香真美容疑者(32)は実家住みで夜勤アルバイト「元公務員の父と温厚な母と立派な家」
NEWSポストセブン
アメリカ・オハイオ州のクリーブランドで5歳の少女が意識不明の状態で発見された(被害者の母親のFacebook /オハイオ州の街並みはサンプルです)
【全米が震撼】「髪の毛を抜かれ、口や陰部に棒を突っ込まれた」5歳の少女の母親が訴えた9歳と10歳の加害者による残虐な犯行、少年司法に対しオンライン署名が広がる
NEWSポストセブン