「そんな矢先の結婚でしたから、“おれの前で原稿用紙を広げるな”という主人の言いつけを守って主婦業優先で、余裕があれば書くという日々になったんです。でも、それが楽しかった。“みそ汁を作りながら書く脚本家”なんていわれたんです。

 ですから、私は二流の脚本家。でも、二流だからたくさん書けた。一流だったら、言葉の1つずつにかっこうもつけるし、推敲もするでしょう。そんなことより、私は思うことが伝わればいいと思うから、平易な文章でたくさん書いた。だからこそ、長く続けてこられて、多くの人たちに見てもらえたんだと思うんです」

 市井の人々の共感を呼ぶ作品を書き、名もなき人々の心に寄り添ってきた矜持が橋田を支えている。

「二流でたくさん!」──橋田はきっぱりと言う。

 このインタビューから数日もおかず、橋田は豪華客船に乗って旅立った。実は今年2月のクルージングではベトナムの港に寄港中に倒れて、現地で4日間入院、気がついたら都心の病院のベッドだった、という経験をしている。

「94才、もう死んでもいいんだから、輸血も治療もしないで、と頼んだのに、言葉がうまく通じないでしょう。輸血をたくさんされて、あげくにジェット機で日本へ運ばれてしまったんです」

 船中の食事がおいしくて食べすぎたために、消化器官を傷つけたことによる下血だった。今回は気をつけて、その折に見損なったベトナムをはじめ、上海や蘇州の人々の暮らしを見てきたい、と言う。涸れない好奇心、行動力が執筆の原動力でもあるのだろう。

※女性セブン2019年12月19日号

関連記事

トピックス

趣里と父親である水谷豊
《趣里が結婚発表へ》父の水谷豊は“一切干渉しない”スタンス、愛情溢れる娘と設立した「新会社」の存在
NEWSポストセブン
SNS上で「ドバイ案件」が大騒動になっている(時事通信フォト)
《ドバイ“ヤギ案件”騒動の背景》美女や関係者が証言する「砂漠のテントで女性10人と性的パーティー」「5万米ドルで歯を抜かれたり、殴られたり」
NEWSポストセブン
事業仕分けで蓮舫行政刷新担当大臣(当時)と親しげに会話する玉木氏(2010年10月撮影:小川裕夫)
《キョロ充からリア充へ?》玉木雄一郎代表、国民民主党躍進の背景に「なぜか目立つところにいる天性の才能」
NEWSポストセブン
“赤西軍団”と呼ばれる同年代グループ(2024年10月撮影)
《赤西仁と広瀬アリスの交際》2人を結びつけた“軍団”の結束「飲み友の山田孝之、松本潤が共通の知人」出会って3か月でペアリングの意気投合ぶり
NEWSポストセブン
米利休氏とじいちゃん(米利休氏が立ち上げたブランド「利休宝園」サイトより)
「続ければ続けるほど赤字」とわかっていても“1998年生まれ東大卒”が“じいちゃんの赤字米農家”を継いだワケ《深刻な後継者不足問題》
NEWSポストセブン
田村容疑者のSNSのカバー画像
《目玉が入ったビンへの言葉がカギに》田村瑠奈の母・浩子被告、眼球見せられ「すごいね。」に有罪判決、裁判長が諭した“母親としての在り方”【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
アメリカから帰国後した白井秀征容疑(時事通信フォト)
「ガイコツが真っ黒こげで…こんな残虐なこと、人間じゃない」岡崎彩咲陽さんの遺体にあった“異常な形跡”と白井秀征容疑者が母親と交わした“不穏なメッセージ” 〈押し入れ開けた?〉【川崎ストーカー死体遺棄】
NEWSポストセブン
赤西と元妻・黒木メイサ
《赤西仁と広瀬アリスの左手薬指にペアリング》沈黙の黒木メイサと電撃離婚から約1年半、元妻がSNSで吐露していた「哺乳瓶洗いながら泣いた」過去
NEWSポストセブン
元交際相手の白井秀征容疑者からはおびただしい数の着信が_(本人SNS/親族提供)
《川崎ストーカー死体遺棄》「おばちゃん、ヒデが家の近くにいるから怖い。すぐに来て」20歳被害女性の親族が証言する白井秀征容疑者(27)の“あまりに執念深いストーカー行為”
NEWSポストセブン
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《永野芽郁のほっぺたを両手で包み…》田中圭 仲間の前でも「めい、めい」と呼ぶ“近すぎ距離感” バーで目撃されていた「だからさぁ、あれはさ!」
NEWSポストセブン
連日お泊まりが報じられた赤西仁と広瀬アリス
《広瀬アリスと交際発覚》赤西仁の隠さないデートに“今は彼に夢中” 交際後にカップルで匂わせ投稿か
NEWSポストセブン
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《離婚するかも…と田中圭は憔悴した様子》永野芽郁との不倫疑惑に元タレント妻は“もう限界”で堪忍袋の緒が切れた
NEWSポストセブン