国内

情報商材販売から特殊詐欺を経て殺人未遂を犯した男の転落

詐欺犯はそのときどきの時事ネタを絡めた嘘の話を持ち掛けてくる(写真はイメージ)

 子育て中の親は子供たちに「嘘つきは泥棒の始まり」と言い、平気で嘘をつくようになると泥棒も平気でするようになる、つまり嘘をつくのはよくないと戒める。それを守れず嘘をついて泥棒をするようになっても、人を襲ったり、殺そうとするところまでは至らないのが普通だと思われてきた。犯罪を実行するには高い壁が存在すると言われてきた。ところが最近は、その壁をいとも簡単に乗り越える元・普通の人たちがいる。ライターの森鷹久氏が、情報商材の販売から殺人未遂事件へと駆け抜けてしまった男の転落をたどった。

 *  *  *
「やばい奴だとは思っていましたが、まさかここまで…。奴に何があったのか、地元では誰も知る人はいません」

 タイの拠点から日本国内に特殊詐欺の電話をかけていた数十名の日本人が逮捕された事件で、アジトである部屋の契約に関わっていたとして逮捕された福岡県出身の男(30)が、今度は殺人未遂で逮捕された。昨年11月、仲間と共謀して、大阪市に住む男性の頭をバールで殴り殺害しようとした、というのだ。筆者も特殊詐欺事件の取材を続けており、男の人となりなどを関係者に聞き取っていた最中だったが、まさかと驚くしかなかった。冒頭のコメントは、男を知る福岡在住の知人男性によるもの。知人男性が続ける。

「昔から金にルーズなところはあったが、ひょうきんで後輩の面倒見も良かった。ただ、金でトラブって逃げるように広島あたりに行った後、人が変わったように、友達や後輩を”ビジネスしないか”と頻繁に誘っていた。奴に数十万円払ったとか、中には100万円近く預けた知人もいました。投資だということでしたが、よくわからないままに金を渡したそうです」(知人男性)

 周辺取材で、当時の男の財布が常に数十万の札束でふくれ上がっていたという複数の証言が出てきた。男から”ビジネス”に誘われた人々は、福岡・中洲のキャバクラなどで、一晩で数十万円をポンと支払う男を見て「金持ちだ」とか「俺も成功したい」と思い、金を預けてしまったのだという。男と共に「情報商材ビジネス」を手がけていたという男性・X氏が明かす。

関連記事

トピックス

どんな役柄でも見事に演じきることで定評がある芳根京子(2020年、映画『記憶屋』のイベント)
《ヘソ出し白Tで颯爽と》女優・芳根京子、乃木坂46のライブをお忍び鑑賞 ファンを虜にした「ライブ中の一幕」
NEWSポストセブン
相川七瀬と次男の凛生君
《芸能界めざす息子への思い》「努力しないなら応援しない」離婚告白の相川七瀬がジュノンボーイ挑戦の次男に明かした「仕事がなかった」冬の時代
NEWSポストセブン
俳優の松田翔太、妻でモデルの秋元梢(右/時事通信フォト)
《松田龍平、翔太兄弟夫婦がタイでバカンス目撃撮》秋元梢が甥っ子を優しく見守り…ファミリーが交流した「初のフォーショット」
NEWSポストセブン
世界が驚嘆した大番狂わせ(写真/AFLO)
ラグビー日本代表「ブライトンの奇跡」から10年 名将エディー・ジョーンズが語る世界を驚かせた偉業と現状「リーチマイケルたちが取り戻した“日本の誇り”を引き継いでいく」
週刊ポスト
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《即完売》佳子さま、着用した2750円イヤリングのメーカーが当日の「トータルコーディネート」に感激
NEWSポストセブン
国連大学50周年記念式典に出席された天皇皇后両陛下(2025年9月18日、撮影/JMPA)
《国連大学50周年記念式典》皇后雅子さまが見せられたマスタードイエローの“サステナブルファッション” 沖縄ご訪問や園遊会でお召しの一着をお選びに 
NEWSポストセブン
豪雨被害のため、M-1出場を断念した森智広市長 (左/時事通信フォト、右/読者提供)
《森智広市長 M-1出場断念の舞台裏》「商店街の道の下から水がゴボゴボと…」三重・四日市を襲った記録的豪雨で地下駐車場が水没、高級車ふくむ274台が被害
NEWSポストセブン
「決意のSNS投稿」をした滝川クリステル(時事通信フォト)
滝川クリステル「決意のSNS投稿」に見る“ファーストレディ”への準備 小泉進次郎氏の「誹謗中傷について規制を強化する考え」を後押しする覚悟か
週刊ポスト
アニメではカバオくんなど複数のキャラクターの声を担当する山寺宏一(写真提供/NHK)
【『あんぱん』最終回へ】「声優生活40年のご褒美」山寺宏一が“やなせ先生の恩師役”を演じて感じた、ジャムおじさんとして「新しい顔だよ」と言える喜び
週刊ポスト
林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
《部屋はエアコンなしで扇風機が5台》「仏壇のろうそくに火をつけようとして燃え広がった」林家ぺー&パー子夫妻が火災が起きた自宅で“質素な暮らし”
NEWSポストセブン
1年ほど前に、会社役員を務める元夫と離婚していたことを明かした
《ロックシンガー・相川七瀬 年上夫との離婚明かす》個人事務所役員の年上夫との別居生活1年「家族でいるために」昨夏に自ら離婚届を提出
NEWSポストセブン
“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト