リームがバラダルシュキャンプで撮影してきた写真を見ると、小さな子どもや妊婦が目立った。この後、リームはシリア国内に入って、避難を余儀なくされているクルド人の調査も行なう予定だ。その報告をもとに、JIM-NETとしてどんな支援ができるか検討していこうと思っている。

 ナブラスは生前、赤い葉っぱのポインセチアの絵を描いてくれた。その絵は、チョコレートの缶にプリントされ、2016年のチョコ募金のときに使われた。

 JIM-NETでは毎年、チョコ募金を行なっている。今年は15回目の節目。これまでのチョコ缶のなかから、人気投票で人気の高かったもの4点を復刻版にした。ナブラスの絵も、その一つに選ばれている。

 北海道の菓子メーカー、六花亭には原価で協力していただいている。今年は14万個用意した。1缶550円で買っていただくと、約310円がイラクやシリア、福島の子どもたちの支援に使われる。

 また、今年5月にオープンした小児がんの子どもと家族のためのJIM-NETハウスが好評で、第二ハウスの建設を準備中である。外務省の「日本NGO連携無償資金協力」から助成も受けているが、JIM-NETでも資金を集めたいと奮闘している。

 日本にいると、イラクは遠い世界のことかもしれない。しかし、経済においては意外に近い。イラクは原油埋蔵量が世界5位。トランプ政権の意向を受けて、イランからの輸入が難しくなるなかで、イラクとよい関係を築くことは大事なことなのだ。

 手のひらに乗る小さなチョコ缶だが、いろんなメッセージを込められる。ぜひ、チョコ募金の協力をお願いしたい。

●かまた・みのる/1948年生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業後、長野県の諏訪中央病院に赴任。現在同名誉院長。チェルノブイリの子供たちや福島原発事故被災者たちへの医療支援などにも取り組んでいる。著書に、『人間の値打ち』『忖度バカ』など多数。チョコ募金の申し込みは以下URLよりメールフォームで(https://www.jim-net.org/choco/)。

※週刊ポスト2019年12月20・27日号

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