「旧皇族には男系男子が21人います。ここをうまく利用すれば問題はとてもシンプルになるでしょう。宮家は天皇家の血のリレーの伴奏者。いざ本家本元が途絶えそうになった時、天皇を立てるために存在しているのです」
さまざまな議論が飛び交う中、女性・女系天皇容認の議論はどこに着地するのか。国際政治学者の三浦瑠麗さんが語る。
「すでに自民党の中には、皇族の存続こそが大切で、男系男子による皇位継承の維持は二の次だ、という意見が出始めています。悠仁さまが生まれる前までは女性・女系天皇容認議論があったわけで、その意味では、いざ方向性が定まれば、女性・女系天皇実現のハードルはさほど高くないでしょう」
日本に関する数多くの著書がある弁護士のケント・ギルバートさんは、国民の意識が最も大切と話す。
「前述のNHKの世論調査でも示されたように、国民の多くは女系天皇の意味もあまり知りません。しかし、もし女性・女系天皇が実現した時、よく意味も知らないまま天皇になられた愛子さまを、本当に国民が尊敬できるでしょうか。根底の部分で、国民にとっての天皇の存在が問われている時だと思います」
辛酸さんはこんな期待を込める。
「愛子さまが天皇になられたら、間違いなく現代に生きる女性の勇気や自信につながると思います。2019年12月に発表された男女格差を示す『ジェンダーギャップ指数2019』では、日本は121位と過去最低でした。日本はまだまだ男尊女卑の国なんですね。でも、もし愛子さまが天皇になられたら、多くの日本人女性の心の支えになるのではないでしょうか」
伝統と革新の狭間で綱引きする女性・女系天皇容認問題──この議論の行方が、今後の日本人女性に大きな影響を与えることは必至だ。
※女性セブン2020年1月16・23日号