ビジネス

元『マネ虎』成り上がり女社長 ビジネス書作家として再浮上

臼井由妃さんは現在、ビジネス書作家として活躍

 2000年代初期に大ヒットしたテレビ番組『マネーの虎』(日本テレビ系)。その黄金期に社長側で出演したこともある臼井由妃(うすい・ゆき)さんは、当時、「成り上がり女社長」「世界の大富豪のひとり」としてメディアを騒がせ、『女性セブン』2012年8月23・30日号にも登場した。社長になってから30年弱、その彼女がいま、40冊以上の著書を持つビジネス書作家として活躍している。きっかけは、トップとして経営の第一線に立ちながら、宅地建物取引士、行政書士、栄養士などの資格も次々に取得する時間の使い方や、メモの取り方、ビジネスパーソンとの上手な付き合い方や趣味のコミュニティで人やチャンスを引き寄せる方法などが注目を浴びたからだ。

 たとえば時間のやり繰り術をまとめた『やりたいことを全部やる!時間術』(日経ビジネス人文庫)、生活におけるちょっとした“ひと工夫”で好転を招くコツをまとめた『できる人はなぜ、本屋で待ち合わせをするのか?』(三笠文庫)、目からウロコの倹約術をまとめた『お金持ちはなぜ、靴をピカピカに磨くのか?』(朝日新聞出版)、『心が通じる ひと言添える作法』(あさ出版)など、ビジネスパーソン向けのものから同世代の女性たちに向けたものまで、ジャンルもじつに豊か。

 30代のころは海外旅行に明け暮れ、ブランド品を買いあさったという臼井さん。バブルを彷彿させる典型的な上昇志向高めの女性かと思いきや、じつは夢をどんどんかなえていった成功の秘訣は〈脇役思考〉にあったという。その真意を聞いた。

 ◆長く輝き続けられるのはトップではなくじつは脇役

「じつはマスコミから注目されていた当時から、会社を売却するか、トップ(社長)から退くことばかり考えていたんです」

 臼井さんは33歳で健康器具販売会社の社長と結婚。ところが3か月後に夫ががんを宣告され、急遽、配偶者の臼井さんが社長に就任。フタを開けたら会社は3億円の借金まみれだったという。

「起死回生をはかるために考案したのが、男性機能補助具。知人のなにげない言葉と、わたし自身の悩みが開発のヒントになりました。これが通販市場で大ヒット。翌年には会社は黒字に転じ、わたしは一躍“主役”に躍り出るようになって(笑)。でも当時から、主役は自分の立ち位置ではない、むしろ“脇役”のほうが自分らしく、自分の能力を最大限に発揮でき、長く輝き続けられるとうすうす気づいていました」。

◆そうか、もう頑張らなくていいんだ──そう思っていただけたら本望

「頑張っているのに報われない。努力しているのに認められない。もうやっていられない!・・・・そんな気持ちになったこと、大人なら誰だってありますよね? わたしもそうでした。何せ運と勢いでつかんだ立場、バッシングや嫌がらせもすごかったんです。地位や名声や収入が増えても我慢や犠牲や責任が大きく、うまくいく確率が乏しい〈主役〉という立場。ここを目指し、必死に頑張るという生き方や思考からは、もう降りてもいいんじゃないでしょうか。つらいこととはサヨナラして、わたしが実践してきた〈脇役〉思考のエッセンスを理解し取り入れたほうが、ずっと生きやすいと思うんです」

 臼井さんがいう〈脇役〉は、存在感を消してただボーッと組織のすみっこで生きながらえようとする存在ではない。著名人にたとえるならば、『孤独のグルメ』の松重豊さんのような、『バイプレイヤーズ~もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら~』の光石研さんのような・・・・。なんと臼井さんからすると、あのイチローも脇役思考の持ち主だという。

「競争よりも協調、ビジネススキルよりもヒューマンスキル、ホームランを打つよりバッターボックスに立つほうが大切――それが令和流の幸せな働き方、生き方なのだと思います。詳しくはわたしの最新刊『脇役思考のほうがうまくいく』に書きましたが、伝えたいのは従来の成功法則とはまったく違う、〈多大な努力〉も〈特殊な能力〉も〈緻密な計算〉もいらない、まったく新しい考え方とその具体的な方法。それが脇役思考なんです」

関連キーワード

関連記事

トピックス

ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
《小室圭さんの赤ちゃん片手抱っこが話題》眞子さんとの第1子は“生後3か月未満”か 生育環境で身についたイクメンの極意「できるほうがやればいい」
NEWSポストセブン
『国宝』に出演する横浜流星(左)と吉沢亮
大ヒット映画『国宝』、劇中の濃密な描写は実在する? 隠し子、名跡継承、借金…もっと面白く楽しむための歌舞伎“元ネタ”事件簿
週刊ポスト
山本アナ
「一石を投じたな…」参政党の“日本人ファースト”に対するTBS・山本恵里伽アナの発言はなぜ炎上したのか【フィフィ氏が指摘】
NEWSポストセブン
中核派の“ジャンヌ・ダルク”とも言われるニノミヤさん(仮称)の壮絶な半生を取材した
【独占インタビュー】お嬢様学校出身、同性愛、整形400万円…過激デモに出没する中核派“謎の美女”ニノミヤさん(21)が明かす半生「若い女性を虐げる社会を変えるには政治しかない」
NEWSポストセブン
今年の夏ドラマは嵐のメンバーの主演作が揃っている
《嵐の夏がやってきた!》相葉雅紀、櫻井翔、松本潤の主演ドラマがスタート ラストスパートと言わんばかりに精力的に活動する嵐のメンバーたち、後輩との絡みも積極的に
女性セブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
思い切って日傘を導入したのは成功だった(写真提供/イメージマート)
《関東地方で梅雨明け》日傘&ハンディファンデビューする中年男性たち デパートの日傘売り場では「同い年くらいの男性も何人かいて、お互いに\\\\\\\\\\\\\\\"こいつも買うのか\\\\\\\\\\\\\\\"という雰囲気だった」
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン