芸能

韓国映画『パラサイト』の魅力、社会派でもあり娯楽でもある

カンヌでパルムドールを獲った『パラサイト』で描かれる「家族」とは(C)2019 CJ ENM CORPORATION,BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVED

 カンヌ国際映画祭で韓国映画初の最高賞パルムドールを受賞し、フランスやアメリカでも外国語映画として例のないヒットとなっている韓国映画『パラサイト 半地下の家族』が日本でも公開された。

 世界が直面するリアルな問題をコメディー、ホラー、サスペンスとさまざまな切り口で描写する本作はアカデミー賞にもノミネートされ、日本でも公開されるや連日超満員となっている。ポン・ジュノ監督の作品をずっと追ってきた映画ジャーナリストの宇野維正さんが「最高傑作。社会派でもあり娯楽でもあるめちゃめちゃおもしろい作品」と太鼓判を押す、“観ないと損!”なヒット作の秘密を探る。

『パラサイト 半地下の家族』
【STORY】
 楽天的な父キム・ギテクと、元ハンマー投げ選手の母チュンスク。長男のギウは4度も大学受験に落ち続け、妹のギジョンは美大を目指すが予備校に通うお金がない。全員失業中のキム一家は、太陽の光も満足に入らない“半地下”住宅でその日暮らしの貧しい生活を送っている。ある時、ギウが友人の紹介で高台の大豪邸に住むパク一家の家庭教師を始めることから物語は動き出す。“半地下”で暮らすキム一家と“高台”で暮らすパク一家。交じり合うはずのなかった2つの家族が出会ってしまったことで、それぞれの運命は大きく変わり──!?

◆他人事ではない「貧困」のリアルな描写

「日本では“清貧”という言葉がありますが、実際にそれは幻想です。“貧しい”ことのリアルが下水が流れるトイレよりも低い場所――“半地下”で生きることに凝縮されている。冒頭のシーンから、半地下の家族が上階の住人がWi-Fiパスワードを変えたことでネットにアクセスできなくなり必死で電波を探す様子が描かれるなど、家族の生活状況が数秒でわかる、そのリアルで的確な描写が見事です。日本でも決して他人事ではないと危機感を覚える人も多いのではないでしょうか」(宇野維正さん・以下同)

◆『ジョーカー』『万引き家族』とは異なる“善良な富裕層”へジワジワと寄生…

他の家族に徐々に“パラサイト”していくという(C)2019 CJ ENM CORPORATION,BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVED

関連記事

トピックス

大谷翔平がこだわる回転効率とは何か(時事通信フォト)
《メジャー自己最速164キロ記録》大谷翔平が重視する“回転効率”とは何か? 今永昇太や佐々木朗希とも違う“打ちにくい球”の正体 肩やヒジへの負担を懸念する声も
週刊ポスト
竹内朋香さん(27)と伊藤凛さん(26)は、ものの数分間のうちに刺殺されたとされている(飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
「ギャー!!と悲鳴が…」「血のついた黒い服の切れ端がたくさん…」常連客の山下市郎容疑者が“ククリナイフ”で深夜のバーを襲撃《浜松市ガールズバー店員刺殺》
NEWSポストセブン
和久井学被告と、当時25歳だった元キャバクラ店経営者の女性・Aさん
【新宿タワマン殺人・初公判】「オフ会でBBQ、2人でお台場デートにも…」和久井学被告の弁護人が主張した25歳被害女性の「振る舞い」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(Instagramより)
《愛するネコは無事発見》遠野なぎこが明かしていた「冷房嫌い」 夏でもヒートテックで「眠っている間に脱水症状」も 【遺体の身元確認中】
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
「佳子さまは大学院で学位取得」とブラジル大手通信社が“学歴デマ報道”  宮内庁は「全報道への対応は困難。訂正は求めていません」と回答
NEWSポストセブン
米田
「元祖二刀流」の米田哲也氏が大谷翔平の打撃を「乗っているよな」と評す 缶チューハイ万引き逮捕後初告白で「巨人に移籍していれば投手本塁打数は歴代1位だった」と語る
NEWSポストセブン
花田優一が語った福田典子アナへの“熱い愛”
《福田典子アナへの“熱い愛”を直撃》花田優一が語った新恋人との生活と再婚の可能性「お互いのリズムで足並みを揃えながら、寄り添って進んでいこうと思います」
週刊ポスト
生成AIを用いた佳子さまの動画が拡散されている(時事通信フォト)
「佳子さまの水着姿」「佳子さまダンス」…拡散する生成AI“ディープフェイク”に宮内庁は「必要に応じて警察庁を始めとする関係省庁等と対応を行う」
NEWSポストセブン
まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
50歳で「アンパンマン」を描き始めたやなせたかし氏(時事通信フォト)
《巨大なアンパンマン経済圏》累計市場規模は約6.6兆円…! スパイダーマンやバットマンより稼ぎ出す背景に「ミュージアム」の存在
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン