国内

まとめサイト運営者 「情報商材の被害者」でもある人が多数

まとめサイトは運営者も読者も……(イメージ)

まとめサイトには問題が多い(イメージカット)

 ニュースサイトのような見た目を装っていても、まとめサイト、トレンドブログと呼ばれるサイトは、出元が不確かな情報を確認もとらず、誤認しやすいように切り貼りしている。つまり信用に値しないのだが、SNSを経由して伝えられると、なぜか信じて拡散する人が少なくない。コロナウイルスによる新型肺炎にまつわるデマも同じように拡散され、自治体などが否定のアナウンスをする事態となった。対策が難しいと言われるまとめサイト運営者を相手どり、NHKが提訴したことが話題になっている。加害者として語られることが多いまとめサイトの運営者だが、実は被害者でもあるという矛盾した実態についてライターの森鷹久氏がレポートする。

 * * *
 あの天下の公共放送「NHK」が、ネット上に数多存在する「まとめブログ」を訴えた──

 この裁判は、大企業や政治家が一般人の声を封じるために威圧や報復目的で起こす「スラップ訴訟」ではない。まとめサイトの悪質さに、放送界の巨人でさえ、ついに堪忍袋の緒が切れた、ということだ。

「昨年発生した京都アニメーションの放火殺事件について、NHKが関与したかのような記事を掲載していたとして、NHKがまとめサイトの運営者に、損害賠償と謝罪広告の掲載を求める訴えを起こしました」

 現役の在阪民放記者は驚きをもってこう話す。

 ネットに掲載された内容をめぐる裁判は、まず発信者の連絡先を入手するために該当サイトのサーバ管理会社を相手に争い、そこで主張が認められて初めて、問題の掲載内容を発信した当事者と対峙できるという二段構えだ。まず発信者情報開示を目的とした裁判をサーバ管理会社と争い、次に発信者本人と掲載内容を争う。つまり、ひとつの案件で二度、裁判を行わねばならない。NHKも今回の件でサーバ管理会社を相手に裁判を起こし、2019年12月に情報開示を認める判決を得ていた。

 当然だが、ひとつの事件で二度も裁判をするには時間も人手も、資金も必要なため、できれば避けたい事態なのは個人でも法人でも変わらない。にもかかわらずNHKが運営者の提訴に踏み切ったのは、「京アニ事件」に関してのネット上のデマは、はっきりいって「限度を超えていた」(前出の在阪記者)ためだという。

「まとめサイトに関しては、いくら運営側が“ネットの書き込みをまとめただけ”で何かの意見を表明する独自の表現ではないと釈明しても、それは通じないという判例も出ています。今回は、NHKスタッフの実名まで出して放火事件とNHKの関係を記事にしており、事実誤認を誘っているし、名誉毀損も甚だしい」(在阪民放記者)

 筆者はこれまで「まとめサイト」について運営者に取材をし、その問題点を提示してきたつもりだ。ほとんどの運営者は、アフィリエイトプログラムによる収益を得るためにまとめサイトを運営していて、大半は思想や主張よりも「儲かれば良い」といったスタンスであった。さらに、ほぼ全てのまとめサイト運営者は「不労所得が得られる」などといった情報商材を購入し、特に工夫もせず商材に書かれていたマニュアル通りに運営を行うというお粗末ぶり。そのため、まとめサイトを運営しても大多数の人が月に数百円の利益すら出せず、そのうちサイトをそのまま放置する……というのが現実だった。

関連記事

トピックス

球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁/時事通信)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
レッドカーペットを彩った真美子さんのピアス(時事通信)
《価格は6万9300円》真美子さんがレッドカーペットで披露した“個性的なピアス”はLAデザイナーのハンドメイド品! セレクトショップ店員が驚きの声「どこで見つけてくれたのか…」【大谷翔平と手繋ぎ登壇】
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン