芸能

『麒麟がくる』カラフル衣装はキャラクターの心情をよく表現

大河ドラマ『麒麟がくる』は衣装も話題に(公式HPより)

 長谷川博己主演で話題を呼んでいるNHK大河ドラマ『麒麟がくる』。登場人物のカラフルな衣装がネット上では賛否を呼んでいるが、専門家はどう見たか。時代劇研究家でコラムニストのペリー荻野さんが解説する。

 * * *
 そんなわけで、早くも戦乱の真っただ中に突入している大河ドラマ『麒麟がくる』。
 
 色鮮やかな映像の数々が話題になっているが、私が注目したのは「衣装の主張」だ。過去には、市川染五郎(現在の松本白鸚)が戦国期に南蛮貿易を志す呂宋助左衛門を演じた『黄金の日日』(1978年)で東南アジアの布を衣装に取り入れた例などはあったが、『麒麟がくる』ほど衣装で登場人物のキャラクターを表現した大河ドラマはなかった。
 
 たとえば、主人公の明智光秀(長谷川博己)は、緑ベースの着物。まっすぐに伸びる竹や笹のイメージだと言われるが、まさしく若き光秀は生真面目でピュアな若竹のような青年だ。生地はペラペラだが、その分、若者らしい清潔感や軽やかさが出る。

 その光秀のペラペラ仲間といえば、学友だった斎藤義龍(伊藤英明)。彼は赤が好みらしいが、ちょっとくすんでいるところがポイントだ。斎藤家の嫡男とはいえ、自分が正室の子ではなく、側女の子だと屈折したところのある義龍の心情が出ている。
 
 第二話にはもうひとりのペラペラ土岐頼純(矢野聖人)が登場。美濃の実権を妻・帰蝶(川口春奈)の父斎藤道三(本木雅弘)に握られていることに怒り、言いなりにはならないと言い放つ。水色をアクセントにした公家か官人のような装束でいかにも育ちがよさそうな頼純にしては強気じゃんと思ったが、登場して数分後には、道三に毒殺されてしまった。あらら。

 やっぱり親父世代はペラペラ世代より、陰謀にしても衣装にしても一枚上手。この世代は、その貫禄に比例するごとくゴッテリした生地をご愛用だ。
 
 毒に苦しみ、息絶える頼純を流行り歌を口ずさみつつ平然と見つめていた道三。光秀と初対面の際に着ていたのは、黒に赤い柄が浮き出るゴブラン織りのような凝ったものだ。屋敷の中でブルンブルンと槍を振り回す武闘派だが、金勘定はしっかりしていて、光秀の旅を費用を出してくれたのかと思ったら、戦の働きで返せという。さすが「まむし」のニックネームを持つだけはある。今後、蛇柄の着物もあるかも。

関連記事

トピックス

田久保市長の”卒業勘違い発言”を覆した「記録」についての証言が得られた(右:本人SNSより)
【新証言】学歴詐称疑惑の田久保市長、大学取得単位は「卒業要件の半分以下」だった 百条委関係者も「“勘違い”できるような数字ではない」と複数証言
NEWSポストセブン
本拠地で大活躍を見せた大谷翔平と、妻の真美子さん
《真美子さんと娘が待つスイートルームに直行》大谷翔平が試合後に見せた満面の笑み、アップ中も「スタンドに笑顔で手を振って…」本拠地で見られる“家族の絆”
NEWSポストセブン
“高市効果”で自民党の政党支持率は前月比10ポイント以上も急上昇した…(時事通信フォト)
世論の現状認識と乖離する大メディアの“高市ぎらい” 参政党躍進時を彷彿とさせる“叩けば叩くほど高市支持が強まる”現象、「批判もカラ回りしている」との指摘
週刊ポスト
国民民主党の玉木雄一郎代表、不倫密会が報じられた元グラビアアイドル(時事通信フォト・Instagramより)
《私生活の面は大丈夫なのか》玉木雄一郎氏、不倫密会の元グラビアアイドルがひっそりと活動再開 地元香川では“彼女がまた動き出した”と話題に
女性セブン
バラエティ番組「ぽかぽか」に出演した益若つばさ(写真は2013年)
「こんな顔だった?」益若つばさ(40)が“人生最大のイメチェン”でネット騒然…元夫・梅しゃんが明かしていた息子との絶妙な距離感
NEWSポストセブン
前伊藤市議が語る”最悪の結末”とは──
《伊東市長・学歴詐称問題》「登場人物がズレている」市議選立候補者が明かした伊東市情勢と“最悪シナリオ”「伊東市が迷宮入りする可能性も」
NEWSポストセブン
日本維新の会・西田薫衆院議員に持ち上がった収支報告書「虚偽記載」疑惑(時事通信フォト)
《追及スクープ》日本維新の会・西田薫衆院議員の収支報告書「虚偽記載」疑惑で“隠蔽工作”の新証言 支援者のもとに現金入りの封筒を持って現われ「持っておいてください」
週刊ポスト
ヴィクトリア皇太子と夫のダニエル王子を招かれた天皇皇后両陛下(2025年10月14日、時事通信フォト)
「同じシルバーのお召し物が素敵」皇后雅子さま、夕食会ファッションは“クール”で洗練されたセットアップコーデ
NEWSポストセブン
高校時代の青木被告(集合写真)
【長野立てこもり殺人事件判決】「絞首刑になるのは長く辛く苦しいので、そういう死に方は嫌だ」死刑を言い渡された犯人が逮捕前に語っていた極刑への思い
NEWSポストセブン
問題は小川晶・市長に政治家としての資質が問われていること(時事通信フォト)
「ズバリ、彼女の魅力は顔だよ」前橋市・小川晶市長、“ラブホ通い”発覚後も熱烈支援者からは擁護の声、支援団体幹部「彼女を信じているよ」
週刊ポスト
米倉涼子を追い詰めたのはだれか(時事通信フォト)
《米倉涼子マトリガサ入れ報道の深層》ダンサー恋人だけではない「モラハラ疑惑」「覚醒剤で逮捕」「隠し子」…男性のトラブルに巻き込まれるパターンが多いその人生
週刊ポスト
ソフトバンクの佐藤直樹(時事通信フォト)
【独自】ソフトバンクドラ1佐藤直樹が婚約者への顔面殴打で警察沙汰 女性は「殺されるかと思った」リーグ優勝に貢献した“鷹のスピードスター”が男女トラブル 双方被害届の泥沼
NEWSポストセブン