大型グランピング施設も充実する「グランスノー奥伊吹」(滋賀県)
一方、インバウンドだけではなく、滋賀県の北部にあるグランスノー奥伊吹(旧称:奥伊吹スキー場)のように、スキー以外でも楽しめるリゾート観光地を形成し、家族連れの観光客をはじめとする幅広い客層をつかむことに成功しているスキー場もあります。
ここは、中京圏・関西圏からの地の利の良さと、個人経営でスキー場に関わるすべての施設を自社で運営し、積極的に最新の設備を導入しています。冬季だけの営業ではなく、夏季期間には大型グランピング施設を開設し、通年での営業に力を入れることで、新たなビジネスモデルを形成しています。
雪上サーフィンともいえる「雪板」が静かなブーム(写真提供/Labo Outback 雪板工房)
スキー場経営に関する取り組みだけではなく、もっと気軽に雪を楽しもうという人たちの動きも出ています。
山形県川西町では、「雪板」が近年静かなブームになっています。スノーボードとは異なり、金属のエッジや固定金具がなく、合板などを曲げたり削ったりし、絵やデザインを施したスポーツ遊具です。いわば“雪上サーフィン”で、子供から大人まで簡単に楽しめます。
雪板は町営スキー場ではもちろん、近所の山や雪溜め場、自宅の庭でも遊べるため、多くの人たちが楽しむようになっています。また、サーフィンと同様に個性的なデザインも楽しみの一つで、自作する人も多く、町内玉庭に設けられた「Labo OutBack 雪板工房」では自作のためのワークショップなども行われています。
スキー人口が急減した理由の一つに、「お金がかかるスポーツ」とのイメージが定着したからだと指摘する旅行関係者がいますが、この雪板は本来の「雪遊び」に原点回帰し、もう一度ウィンタースポーツを楽しもうという動きに繋がりつつあります。
さて、こうした様々なウィンタースポーツの振興も行われていますが、今年の異常なまでの小雪状態、さらに日韓関係の悪化、中国発のコロナウィルス問題など、さらなる逆風が吹き荒れている状況に変わりはありません。
地域経済の活性化にも貢献するこうしたウィンタースポーツの新しい取り組みが逆風で挫折しないよう、今後は国や自治体の支援も重要になってきそうです。
「雪板」は個性的なデザインで自作できるのが人気の秘密(写真提供/Labo Outback 雪板工房)