国際情報

韓国のビザ免除停止は明らかに「敵意帰属バイアス」と心理士

韓国からの入国制限措置が新たな火ダネに?(EPA=時事)

 臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々の心理状態を分析する。今回は、日本と韓国の入国制限を巡る対立について。

 * * *
 それにしてもなぜ韓国は、というより文政権は、日本のやることをなんでも悪意や敵意と取るのだろうか?

 9日午前0時、日本政府は新型コロナウイルスの感染が拡大する中国と韓国からの入国を制限した。中韓からの入国者には自宅や宿泊施設で2週間の待機を要請、発給済みのビザの効力も停止した。すると、これに韓国が猛反発。日本に対して90日間のビザ免除措置を停止すると発表し対抗措置を取ったのだ。

 パンデミック的な感染拡大により、各国では入国や移動を制限し、市や街全体の封鎖に踏み切っている地域すらある。韓国に対して入国制限をしている国はすでに100以上だ。なのに文政権では日本だけに対抗措置を取った。康京和(カン・ギョンファ)外相は外務省に富田駐韓大使を呼び出し、日本の入国制限を非友好的、非科学的、不当な措置と猛烈に抗議。入国制限の撤回を要求した。

 康外相といえば、シャープな顔立ちにメタルフレームのメガネ、グレーヘアが特徴。知的だけれど近寄りがたく冷たい印象が強い。日本に対して見せる表情には、いつもバサバサと人を切っていくようなキツさやとげとげしさが表れているが、今回はそれ以上に怖い。困惑した表情の富田大使を前にした康外相の顔は凄みすら感じさせる。どの写真を見ても険があり、身体中から怒りが発散されているようだ。

 康外相の姿は、今の文政権の反日姿勢をそのまま体現しているのだろう。昨年は徴用工問題などにより、日韓関係が戦後最悪になったといわれた。日本製品の不買運動から軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄と、これまでにも文政権の反日姿勢は強硬だ。反日を強く支持する彼らの頭の中には、日本に何かにつけて対抗し、こちらが意図していないことでも挑発されたと思い込み、さらにちょっとしたことでも悪意があると感じて敵意と怒りを自動的に抱くような回路が作られてしまっているのではないだろうか。

 相手からの行為をなんでも悪意や敵意があるように感じてしまうのは、「敵意帰属バイアス」という心理的傾向である。この傾向が強いと、わずかなことでも敵意的に解釈してしまい、攻撃的、報復的行動を取りやすいといわれる。

 その上、韓国が日本に対して持つ“恨(ハン)”の感情とそこからくる抵抗心や対抗心が問題をさらに複雑にしている。生み出される怒りや敵意は、経済や文化など様々なレベルで関係が親密になるほど、自国の要求に応えない日本に対して増幅される。他人に無視されるより、友人に無視される方がこたえるのと同じような心理だ。この“恨”により自国の要求に責任を持つべきは日本だと主張し、常に日本にマウンティングしなければ気がすまず、拒否されればそれに対し過剰に反応する。

 新型コロナウイルスの感染拡大は当面続き、警戒を緩めるわけにはいかないというのが9日に行われた専門家会議の見解だ。今回の日本だけに対する報復的な対抗措置は、やはりあまりにも感情的な対応に見えるようで、韓国国内でも批判が高まっているらしい。こんなときこそ互いの国民を守るための協力的な方法や措置を提案した方が、よほど政権の支持率がアップするのでは…?と思うのは、結局、日本人的な見方にすぎないのだろうか。

関連記事

トピックス

球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
レッドカーペットを彩った真美子さんのピアス(時事通信)
《価格は6万9300円》真美子さんがレッドカーペットで披露した“個性的なピアス”はLAデザイナーのハンドメイド品! セレクトショップ店員が驚きの声「どこで見つけてくれたのか…」【大谷翔平と手繋ぎ登壇】
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン